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ゆっくりれいむと妹紅は、並んでれいむのおうちへと向かっている。 先ほどのゆっくりの言葉を確かめるため、今すぐにもかけだした妹紅だが、案内役のゆっくりれいむは下が焼かれてはねるたびに痛むらしい。 ずりずりと草むらを這いずりながら、妹紅にせっつかれて前に進んでいく。 「ニンゲンの赤ちゃんって、食うために今度はさらってきたのか?」 妹紅の問いかけに、ひいひいあえいでいたゆっくりれいむは目を見開く。 「赤ちゃんを食べるなんて、どうじでニンゲンはそんなひどいことかんがえるのおおおおお!」 なぜか、妹紅が逆にしかられた。 「いや、だってお前くっただろう!」 もう一度、あぶってやろうかと気色ばむ妹紅。 けれど、次のゆっくりの言葉は妹紅の殺気を削ぐものだった。 「ちがうよおおお、赤ちゃんはあんなにゆっくりできるのに、たべたりしないよお」 「ゆっくりできる?」 「うん! 笑ったら、だあだあ笑い返してくれるし、ゆっくりしてねとお願いしたらきゃきゃっと笑ってくれるの。すっごく、かわいいんだよ~♪」 体を揺らしながら、とろけそうな笑顔を真っ赤にするゆっくりれいむ。 「……じゃあ、どうして赤ちゃんを飲み込んだんだ? 知っているんだぞ、お前が四日前、人里で赤ん坊を飲み込んでいたことを」 「ゆっ! その赤ちゃんのことだよ! 口の中に入ってきた赤ちゃんのことだね。赤ちゃん、怪我したらいけないもん! お口にいれて危険から守ってあげないと!」 妹紅は沈黙した。 ゆっくりれいむが言うがまま、推理を組み立てる。 はいはいを覚え、あちこち興味が赴くまま這い回る赤ちゃん。そこに通りかかったゆっくりの口に、何かの偶然で入り込んだ赤ちゃん。赤子の様子に、ゆっくりの母性が刺激されたのだろう。所有権という概念があまりないゆっくりは、その場に「落ちていた」赤ん坊を拾ったものとしてもちかえる。なぜ、母親に口に入れたことを「食べた」と言ったのかはよくわからないが、ゆっくりの語彙の少なさは誰しもが知るところ。 まあ、どちらにしろ、迷惑極まりない話ではあるのだが。 しかし、子供が生存して取り返せる可能性がでてきた。 食われてる結末に比べて、はるかにマシな状況だ。 助けることができれば、あの母親はどれほど喜ぶだろう。 「しかし、お前のでかさだと赤ん坊は食いごろサイズなのによく我慢できたな」 言いながら頭をなでてやると、ゆっくりれいむは初めて妹紅に笑顔を向ける。 「当然だよ! にんげんさんも一緒にお話できたり、ゆっくりできる相手を食べたり、殺したりしないよね!」 ああ、そうだと言えればどれほど幸せな千年間だったのだろうと、妹紅は人の世で過ごしてきた時間を回想する。 が、興味深そうなゆっくりれいむの視線を感じて、慌ててごまかすように次の疑問を口にした。 「ところで、何を食べさせていた?」 「れいむたちと同じものだよ、おいしそうな草とか、虫さんとか! でも、食べてくれないの……」 「なっ!」 ようやく離乳食が終わったばかりの子供に、そんなものが食えるわけがない。 そうなれば、赤ちゃんは空腹のままもう四日目。衰弱の予感に、さらにゆっくりれいむを急がせる妹紅だった。 「そこだよ!」 ゆっくりれいむの声が示す方向を見ると、巧妙に藪に隠された巣穴が広がっていた。 「わかった!」 妹紅は一足先に巣穴に乗り込む。 くさむらを蹴散らし、くらがりの中へ。 炎の一塊で洞窟内を照らすと、目的の赤ちゃんは目の前にいた。 「だああ」 はいはいをしてこっちによってくるその姿を見て、妹紅は全身が安堵に包まれる。 それに、予想に反して衰弱した様子はない。 しっかりとした所作で外からきた妹紅に向けて手をのばす。 その手を引き上げようとして、妹紅は気づいた。 赤ん坊の手のひらを真っ黒に染めたもの。べちゃべちゃの甘い匂いのする、餡子。 ぽとりと、その餡子から何かが床に落ちる。 肌色の何かが、ねじられていた。炎の光をうけて、金色の何かが光っている。そばに落ちている親指ぐらいの黒い帽子で、それがちびまりさの残骸だと妹紅は気づいた。 「あまあま……」 赤ちゃんは、その餡子を押しそうになめている。 そういえば、普通ゆっくりの住処に来たときにかけられる「ゆっくりしていってね」の声がなかった。 妹紅は炎の勢いを強め、巣穴の全体を照らす。 そして、何があったか理解した。 床には、上下に真っ二つにねじ切られて投げ捨てられてぴくりともしないゆっくりれいむの赤ちゃんと、後頭部を噛み切られて片目が飛び出した同じゆっくりれいむの赤ちゃんが震えていた。 後者の赤ちゃんはまだかろうじて生きていたのか、光に反応して「お゛お゛お゛お゛」とうめきだす。 残された片方の目から涙をひっきりなしにこぼして、ニンゲンの赤ちゃんを見つめていた。 「おねえちゃんに……どうじで……ごんなごどずるのおおおおお……」 「まんまー♪」 赤ちゃんの返事は届いたのだろうか。 白目からぼろぼろと涙をこぼしたまま、物言わぬ饅頭と化すゆっくり赤ちゃん。 おそらくは、空腹のあまり手近なゆっくり赤ちゃんをかじったところ、その甘さに手当たり次第に食いついたのだろう。ゆっくり赤ちゃんは1歳児の膂力にすら抗えないし、ニンゲンの赤ちゃんを妹のように感じて予想だにしていなかったのか、説得しようと踏みとどまったのか、一匹も逃げきれたものはいなかった。 「あ゛っ、あ゛っ、あ゛っ! なんなのおおおおお、ごれえええええええええ!!!」 背後からの悲鳴。 振り向くと、ゆっくりれいむがぶるぶると震えて、地面に散らばるわが子を見つめていた。 その視線が不意に、妹紅の前にいる赤ちゃんの手のひらをみて、凍りついた。 「なんでえええええ、おねーちゃんだちを、たべだのよおおおおおおおおお!!!」 まずいと、妹紅は前に進み出る。 同時に、すさまじい衝撃が妹紅の体にたたきつけられていた。めきめきと背骨が鳴る。 激昂したれいむが、怒りのままに体当たりをしかけていた。 「あやまってえええええ! れいむのあかぢゃん、もどにもどじでええええええええ!!!」 妹紅にはどうにもできないことをいいんがら、無言の妹紅へと、二度、三度。さらにとどまる様子もなくぶちあたるその巨体。 「かはっ……」 妹紅は唇を伝う血の一筋に、体のどこかがやられたことを悟っていた。 だが、れいむを焼きはらおうとは思わない。 なぜなら、れいむの慟哭はこの子の親と同じものだったから。 この子は無事帰ることができるが、れいむの赤ちゃんはもういないのだ。 自分の安い命でよければ、気がすむまでれいむに付き合ってやろうと、心に決めていた。 もう、何度目か数えてもいない衝撃に目を見開く妹紅。その見下ろす先には、かばわれている赤子の不思議そうな瞳。 お前さんには罪はないんだと、にっこり微笑んでやる妹紅。 すると、笑顔に合わせてにっこりと笑い返す赤子。 そうして、おぼつかない口元で言った。 「ゆっくり……ちていってね!」 妹紅は驚愕した。まだ、この子は言葉が話せなかったはず。初めて話す言葉は、この洞窟でゆっくりれいむやその子供たちに話しかけられた言葉。 気がつけば、ゆっくりれいむの襲撃が止んでいた。 振り返ると、ゆっくりれいむはただ涙を滝のように流して、赤ちゃんを見つめていた。 そのまま、ずりずりと床にちらばるわが子の前にすすむと、体を弛緩させてぶるぶると震えだした。 「もう、かえって……あかちゃん、ゆっくりねむらせてあげてね」 嗚咽交じりの声に、妹紅は返す言葉を失っていた。 言われるがまま、赤子を抱えあげて洞窟をでていこうとする。 洞窟の出口付近で、ゆっくりれいむが声をあげて泣き始めた。 ふりむくと、あの巨体がまるでしぼんだように小さく見える。 妹紅は赤ちゃんと胸をしめつける罪悪感を連れて、静かにその場を後にした。 子供の帰還は、まるで収穫祭のような大騒ぎとなった。 「あっあっあっ!」 弱りきり、自分が奉公している富農に付き添われていた母親が、泣きながらわが子をかき抱く姿を見届けて、妹紅は心から安堵する。 が、あのゆっくりれいむの様子を思い出すと達成感はまるでなかった。 「妹紅、ちょっと来てくれないか」 慧音の声に呼ばれて振り返ると、友人の前に居並ぶのは笑顔の村の重鎮たち。 妹紅は求めれるまま、ことの次第を報告する。 まずは見つけた場所を報告する。とはいえ、お母さんゆっくりの激昂などははしょる。村の重鎮の一人に、子供が食われたという一報があったときに周辺すべてのゆっくりの駆除を提案した人物を見つけたからだ。あの傷心の、二度と人に関わろうとはしないだろうゆっくりれいむはそっとしてやりたい。 今回の事件は偶然が重なったこと、再犯の可能性がないことを付け加えて、報告を終える妹紅。 間髪いれず、妹紅の意を汲んだ慧音の提案が続く。 「子供をさらい、危険に追い込んだことは許しがたく、その間、どれだけ母親が苦痛に苛まれたことか想像に尽くしがたい。よって生かしておくには後顧の憂いがあると、何事もなければ言えるだろう。だが、子を失うことで人の子をさらうとどうなるかわかっただろうし、何よりも哀れな話だ。それに、あのあたりは妖怪も出没する。村人をそんな危険にさらしてまで処理する案件ではないと思う」 人里の守護者、慧音は滅多の村の方針に口を出さない。 それだけにこの提案は重く、異議を唱える者はついにあわられることがなかった。 こうして、すべては丸く収まることになる。 少なくとも、この時の妹紅と慧音の二人はそう考えていた。 さらに雨脚の強まったその日の夜。 ぼんやりと雨音を聞いている、巨大ゆっくりれいむ。 その前には、きれいな石ころを積み上げた子供たちのお墓。取り囲むように、子供の遺品が並べられている。 ゆっくりれいむは遺品を眺めて子供の思い出にひたっていた。思い出す、しあわせだった日々。 しかし、幸せの追憶はさえぎられる。 気がつけば、光の一閃がれいむの巣穴に差し込んでいた。 ランタンの明かりが入り口から忍び寄り、ゆっくりれいむの注意を引いている。 「今はひとりでゆっくりしたいよ……」 れいむの力ない声は、そのランタンの持ち主を止めることができなかった。 あらわれたのほっそりした体の女性。 ランタンを地面に置き、近づいてくるその姿に、れいむは見覚えがあった。 赤ん坊の母親だった。 見覚えのある人間の登場に、れいむの目に生気が宿る。 「ゆ……れいむの……ううん、おねーさんの子供さん戻ったの」 頷く母親に、れいむは表情をやわらかくする。 「よかったね……」 心から、その言葉が言えた。 そのことに、微笑むゆっくりれいむ。 「何もよくないわよ」 だが、返ってきたのは母親の険のある声。 そのまま、つかつかと歩み寄り、子供たちをうめた石の小山を蹴り飛ばす。 「ゆ! なにするのおおおおお!」 子供たちはもう帰らない。なら、せめて自分のそばでゆっくりさせてあげたいゆっくりれいむ。 それだけに、母親の突然の行為が許せない。 第一、こんなことになった原因は…… 「そうだ! おねーさんが、赤ちゃんをれいむの口に押し込んだのが悪いんだよ!!!」 母親の顔が歪む。 急所だった。 れいむが妹紅か誰かに話していれば、すべての害意の源が明らかになる事実。母親の頼みにも関わらず、妹紅とかいう女がゆっくりをさっさと始末しなかったせいで、危うくぶちまけられそうになった真相。 それだけに、れいむの言葉は死への通行手形となった。 「ひどいよ、おねーさん! 飲み込まないともっと刺すって、れいむのほっぺたに意地悪したよね!」 母親はゆっくりれいむの前に立って含み笑いをこぼす。 「へえ、そんなゆっくり脳でも覚えていられるのね」 言うなり、背中に隠していた槌でぶん殴っていた。 叩きつけた瞬間、ぶべっと餡子が巣穴にはじけて散る。 「中身、やっぱり餡子なのね。本当に、ふざけた化け物」 かはっと、衝撃に目を白黒させるゆっくりれいむを、冷ややかな目で見下ろしていた。 おかげで、こいつと一緒にすべてを闇を葬らなければいけない。 槌を振り上げる母親。 振り下ろしながら、掛け声代わりに叫んでいた。 「そもそもは!」 「ぶぎっ!」 れいむの体が衝撃でたわむ。 「あんたが!」 「ぴゃぶっ!」 殴った形にへこんだ脳天に、何度も振り下ろす。 「きっちりガキを食っていれば……!」 「や、やめで……び、びぎゃあああ!」 殴りつけるたび、ぶぴぶぴと吐き出される餡子 もはや、見開いた目は飛び出しそうにまん丸で、目から耳から、穴という穴から餡子がぼとぼとと噴出している。 髪飾りは割れた頭頂部からもれる餡子にまみれ、殴り損ねた一撃で、ごっそりと髪がちぎり落とされていた。 母親はその姿に、少し気がまぎれたかのように笑い、すぐに般若の形相。 「ガキつれているとね! 富農のバカ息子と! 再婚できないのさ! あいつら、財産分与だ何だと難癖つけやがる!」 言葉を区切るたび、ゆっくりれいむの頭に槌が振り下ろされていた。 加減など欠片も無い、ただただ潰したいとばかりに振り切る。 「やめでええええ、ゆっぐりざぜでえええええ!」 「うるさいっ! 人の書いた絵図を台無しにしやがって……!」 不審を抱かれにくい「事故」により消える赤ちゃん。ゆっくりに赤ちゃんを処理させ、後は同情を引く母親を演じれば勝手に証拠のゆっくりが始末される。村中から同情を受ければ、金持ちとの結婚も傷ついた女性の面倒をみる美談ともなるだろう。 が、無事に子供が戻ってきて、すべてはご破算だ。 どれだけの手間をかけてやったのだと、殴りつけながら憤りが高ぶっていく。 当初の予定では子供を妖怪に食わせるつもりだった。だが、妖怪相手では自分をも食われる可能性があるし、妖怪退治に出張る巫女に勘付かれたり、妖怪が知性的ならば魂胆を見破られかねない。 そうして、得体の知れなさから「やりかねない」として選んだゆっくりだったのだが。 「せっかく、選んでやったのに……こんのおおお、役立たずがああ!」 「ぐぴゃあああああ」 もっとも痛烈な一撃だった。 噴水のように全方位に餡子を噴出す母ゆっくり。 母親はひいひいと荒い息をつきながら、目や耳から餡子を噴出し、もう痙攣して死を待つばかりのゆっくりに笑いかける。 「あのガキ、次は崖から落ちたことにしてやろうかねえ」 まるで、楽しい遊びを思いついたように母親が計画を口走った瞬間、死んだかのようなゆっくりが動いた。 餡子を吐きちらしながら、猛然と体当たり。 「ひゃ!」 見事に不意をついていた。 「げへえええええええ!」 すさまじい重量に倒れこむ母親。飛び上がったゆっくりれいむの体重に、震える地面。いや、洞窟全体がひどく揺れていた。衝撃で、ぽとりと入り口に落ちる土くれ。 その上に石がごろごろところがってくる。天井からはさらさらと砂の音。 長い間の雨に脆くなった岩盤。 そこへ止めを刺す母ゆくくりの振動が、今、巣を潰そうとしていた。 このままでは、双方生き埋めとなる。 起き上がろうと身を起こす母親。 が、起き上がれない。 「……あんた、離しさいよ!」 ゆっくりれいむが腰にのりあげ、張って進むこともできない母親。 「ねえ、あんた! ちょっとどいてくれるだけで、後でおいしいの上げるわよ! ゆっくりなんかじゃ絶対食べられないほどのね!」 その誘いは、無駄だった。 れいむは乗り上げたその体勢のまま、事切れていた。 最後まで、「子」のために死力を尽くしたゆっくりれいむの命だった。 「なっ! あんた、何で、死んでんのおおおおおっ!!!」 何度も殴りつけるが、もうぴくりとも動かない。 ただ、重みを与え続けるだけ。 「いやあああああああああああああ、たすけてえええええええええ!!!」 張り上げた声も天井から崩落する土砂の音に消えていく。 「なんで、あだじがああああああああああああ……」 後には、土砂に覆われた斜面が残された。 まるで、最初から何も無かったように。 「世の中はままならんものだ」 上白沢慧音の言葉に、妹紅のため息が誘われる。 「せっかく子供が帰ってきたのに、母親のほうが行方不明とはな」 二人、暗い顔で台風一過の晴れ渡った空を眺める。 ようやく、親子二人で幸せな暮らしができただろうに、哀れでならない。 だが、暗い話題ばかりではなかった。 「それにしても、子供を引き取ってくれる人が名乗り出てくれて、本当によかった」 「長年、子供に恵まれなかった夫婦だったな。きっと、誰よりも大切にしてくれるはずだ」 慧音の言葉に、妹紅は同意の頷きを返す。 「きっと母親の愛情が、次の家庭に受け継がれていったのだろう」 慧音の独白。 そのとき、妹紅の脳裏に浮かんだのは母親の顔ではなかった。 あの、ふくよかな母ゆっくりの姿を思い浮かべていた。 「あいつなら、もう一度暖かい家族を築けるはずさ、きっと」 慧音にも聞こえないよう小声でささやいて、妹紅は抜けるような夏の空を見上げる。 透き通るような青空を背景に、大きな一塊の雲が流れていた。 眺めていると、夏の涼風に吹かれて小さな雲が三つ、大きな雲に引き寄せられていく。 やがて、よりそって仲睦まじく一つとなる雲の姿。 ふんわりと雲が浮かぶ紺碧の空を、妹紅はいつまでも眺めていた。 おわり あらすじ どうも、小山田です。 今回はちょっとした変化球でやってみました。 このSSに感想を付ける
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冬設定 ぬるいじめ 「なんだかここはゆっくりできないよ!!!」 「…れいむ?」 今までいい子に過ごしてた飼いゆっくり、れいむがは発したその一言、それが彼女の運命を左右させた ゆっくりしたかっただけなのに 「ここはちょっとさむいし、ごはんもあんまりおいしくないよ!それに、髪の毛や体もぺろぺろいがいできれいにできないよ!おかざりくらいはおせんたくしてね!」 「れいむ、ちょっと一回家出してみよっか。」 「ゆ?おねーさん、どーいうこと?」 「ここ以外の場所でゆっくりできるところをゆっくり自分でさがしてみてってこと。」 「わかったよ!じゃあ、いってきます!おねーさん!」 「いってらっしゃい。…さよなら」 私は、もうれいむと会う気はない。貧乏で暖房も入れられないし、お菓子も買えない。 それでも、捨てられて生き方のわからないれいむを拾ってあげた私は優しいんだと思うよ?まぁ、自分で始めたことを自分勝手な終わらせ方するとかずるいけど。ま、饅頭だしね?食べ物を殴っていいのと同じ。 「わぁ!たのしそうなものがいっぱいあるね!」 れいむが最初にたどり着いたのは、近所の公園。 れいむは公園に行ったことはあったが、車でいく距離のところしか言ったことがない。野良ゆっくりがついてきたら困るからだ。 ジャングルジム、滑り台、ブランコ、などなど、いろんな遊具でれいむは遊び続けた。途中、他の野良ゆっくりもいたがみんな食べ物を集めるのに必死で、遊んでるれいむなど飼いゆっくりかとおもい気にとめなかった。 「れいむまだまだあそぶよー!」 いつもなら飼い主にもう帰るよと言われてたが、そんなことを言うおねーさんはもういない!れいむはあそびまくっていきてくよ!!! というバカな考えで、れいむの遊んで生きていく毎日が幕を開けた_____が、すぐ終わった。 次の日には空腹に耐えられなくなっていた。れいむは子ゆっくり、生体ゆっくりよりもお腹がすくのが速い。 「れいむおなかすいたよ!あっ!そこのゆっくり!ゆっくりしていってね!」 「まりさはまりさだよ、ゆっくりしていってね!」「れいむはれいむだよ!」 「で、れいむ、なんのよう?まりさはごはんをあつめるのにいそがしいんだけど…」 頭が良ければ、生き方がわかってれば、このまりさに狩りの仕方を教われたのに…れいむは不幸だな…でもこのまりさは心優しい善良ゆっくりだった 「れいむにたべものをわけてね!」 「ゆ?たべものをさがすのはじぶんのおしごとだよ!野良ゆっくりの常識でしょ?ふゆさんとはいえごはんはたくさんあるよ!このごみすてばさんでとれるごはんさんはぜっぴんだよ!このまえなんて、ぱすたさんをとったんだよ!?」 飼いゆっくりだったれいむにとって、スパゲティなんて珍しくもなんともなかった。 「ぱすたさんか、なんのそーす?」 「そーす?」 「れいむがすきなのはみーとそーすだよ!」 「みーとそーす?なんのこと?」 「ぱすたをしってるのにしらないの?ぱすたにかけるとってもおいしいものだよ!」 「…さてはれいむ、かいゆっくり?」 続くhttps //www26.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/sp/editx/5378.html 「そうだよ?」
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『ゆっくり釣らないでね!!!』 「ゆっくりしていってね!!!」 美しい森の中、ゆっくり達の声が響き渡る。 人里から遠く離れてはいるこの森は外敵が少なくて食料が豊富なゆっくりプレイスだった。 そんな安らげる場所で育ったゆっくり達もまた、非常にゆっくりとしていた。 そんなゆっくりの群れの中にいる子供のれいむもまた日々を平和に過ごしていた。 子れいむの家族はお母さんれいむと姉のまりさとれいむ、後は二匹の妹れいむの六匹家族。 とてもゆっくりしている仲良し家族だ。 「おかーさん! きょうはどこにいくのぉ?」 「ゆゆ、みんなのところにいこうね」 「ゆっっくりいこうね!!」 「みんなとあそびにいこうね!!」 「ゆっくちー!」 子れいむ達はいつも群れの皆が集まる広場へと遊びに向かった。 途中で同じ場所に向かう他の家族と合流しつつ広場に着くとすでにこの群れの大半のゆっくりがそこでゆっくりしていた。 友達とカケッコするもの、草を使って綱引きするもの、身を寄せ合ってうとうとするもの、合唱するもの。 どのゆっくりも自分がしたいように、自由にゆっくりとしていた。 「ゅー! れいみゅこっちであしょぼうよ!!」 「ゅーん! いまいきゅよ!!」 「ゆっくちあしょぼーね!!」 妹れいむ達は他の家族の赤ちゃんに誘われて遊びに行ったようだ。 お母さんれいむもそれに付いていった。 「まりさはあっちにいくね!!」 「れいむはともだちにあってくるね!!」 姉まりさは恋人のれいむに会いに行った。近いうちに一緒に住むらしい。 姉れいむも姉れいむで友達のグループに向かったようだ。 残った子れいむは今日は何してゆっくりしようかな、と考える。 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆゆ? ゆっくりしていってね!!!」 考えてた子れいむに話しかけたのはよく一緒に遊ぶ友達の子ゆっくり達だった。 今日は友達とゆっくり遊ぼうと決めた子れいむは友達の輪に混じり、きゃいきゃいと遊び始めた。 とてもゆっくりとした時間。 どのゆっくりも幸せそうな笑顔を見せている。 子れいむもまた、そんなゆっくり達に囲まれて幸せを感じていた。 そして、世界はゆっくり出来る事で溢れていると信じていた。 そんな時に子れいむは人間と出会った。 「おぉー、結構いますね」 「ああ、こんな奥地まで来た甲斐があるってもんだ」 「どれも元気なゆっくりだな」 「それだけここが平和な場所なんでしょ。ゆっくりにとって」 「………」 みんなの広場に5人の人間が姿を現した。 どの人間も大小の籠をいくつも持っている。 「にんげんさんだー! ゆっくりしていってね!!!」 「ゆゆっ? にんげんさん?」 「ゆーん! はじめてみたよ!! ゆっくりしていってね!!!」 こんな森の奥では人間に会うことなどまず無い。 しかし代々受け継いだ知識ゆえにこの動物が人間だとゆっくり達には理解出来ていた。 それでも初めて見る人間達に興味津々のゆっくり達は人間の周りに集まっていく。 子れいむも同じで人間の足元でピョンピョンと跳ね回る。 「にんげんさん! ゆっくりしていってね!! ゆっくりしていってね!!!」 「ここはゆっくりできるばしょだよ!! いっしょにゆっくりしようね!!」 「おいしいおはなさんもあるよ! いっしょうにたべようよ!!」 「随分と人懐っこいな…」 「しかし里近くのゆっくりとはやっぱ違うねぇ」 そう言って男は近くにいた子れいむの頭を撫でる。 大きくて暖かい手に撫でられるのはとっても気持ちよくて思わず、 「ゆゆーん……!」 なんてちょっと恥ずかしい声を出してしまった。 それを見た他のゆっくり達は羨ましがる。 「れいむいいなぁ…」 「まりさもにんげんさんとゆっくりしたいよー!」 「れいみゅもなでなでされたいよ!」 そんなゆっくり達に人間は優しく話しかける。 「それじゃあこっちにおいで。遊んであげるよ」 その言葉にゆっくり達はパーッと顔を輝かせた。 そして人間さんとゆっくりしようと人間の下に駆け寄る。 「一匹ずつ遊んでやるからな」 「ゆっくりあそんでいってね!!!」 人間たちは一匹ずつゆっくりを掴むと撫でるわけでもなく、籠へと投げ入れていった。 大きい成体ゆっくり、それより少し小さい子供ゆっくり、後は赤ちゃんゆっくりの3つに分けて別の籠に入れていく。 最初は「ゆーっ」などと喜んだゆっくりだったが、次々と仲間が籠に入ってきて窮屈になるとさすがに不満を挙げ始めた。 「にんげんさん、ここじゃゆっくりできないよ!!」 「そとでゆっくりあそびたいよ!!」 子れいむも籠に入れられ、子れいむの下には友達のまりさが苦しそうにしている。 上からは友達のれいむが圧し掛かってきて苦しい。 背中からは友達が押してくるので身動きが取れなかった。 目の前にある籠の僅かな隙間から外の様子を見ることが出来る。 仲間が、友達が、お母さんもみんな捕まっていく。 (にんげんさんはへんなあそびをするんだね。でも…) 「にんげんさん、くるしいよぉ…」 仲間が捕まっていくのは人間のそういう遊びだと思っている子れいむにとっては窮屈で苦しいことだけが問題だった。 しかし顔が籠の内壁に押し付けられてるのでくぐもった声で人間に呼びかけるが人間にその声は届かない。 人間はさっきまでの笑顔はどこへやら、無表情にゆっくりを籠へと放っていた。 でも逃げようとするゆっくりはいない。 なぜならゆっくり達はこれを遊びだと信じ、 さらには籠に入った仲間の苦しそうな声など聞こえていないのだから。 そうしてゆっくりの詰められた籠には蓋代わりに布を被され、紐で縛って固定された。 それからどこかで待機していたまた別の人間が現れて籠を運んでいく。 人間がこの広場に現れてから一時間。 たったそれだけの時間でこのゆっくりプレイスに住むゆっくりの群れはいなくなってしまった。 子れいむの入った籠も運ばれていく。 目の前の僅かな隙間から外の見れるれいむには分かってしまった。 自分達がおうちから、そして生活圏から離れてしまっていることに気が付いたのだ。 「ゅ、にんげんさん どこへいくの?? おうちからはなれてるよ??」 その子れいむの言葉に周りのゆっくり達は驚いた。 外の様子が見れないゆっくりは籠の揺れを「ゆれてるね~」程度にしか考えてなかった。 むしろゆっくり揺られるのが楽しくなってきた者すらいた。 だがおうちから離れていくと知れば楽しんでる場合ではない。 「にんげんさんどこいくの!? ゆっくりおしえてね!」 しかし人間は答えない。 「おねがい、へんじしてよぉ」 「いっしょにゆっくりしたいよ!」 「にんげんさんといっしょにゆっくりさせてよー」 純粋に人間さんとゆっくりしたいだけなのにどうして返事してくれないんだろう。 ゆっくり達は寂しくて、悲しかった。 そして何よりもおうちから離れていくことに不安を感じていた。 しばらくするとゆっくりの入った籠が森の外で待機していた馬車の荷台に積まれた。 籠の中のゆっくり達は人間と遊ぶことは諦め、それよりも窮屈な籠から出ておうちに帰りたがっていた。 「ゆー、にんげんさーん。もうおうちにかえるー」 「このなかはせまくてゆっくりできないよ! おそとにだしてね!!」 「おかーしゃんにあいちゃいよ! ゆっくちしちゃいよー!!」 だがその言葉は聞き届けられることはなく、ゆっくり達の旅は続いた。 草原を越え、 大きな河を越え、 山を越えた。 山を越えたところで日は沈んで辺りは闇に包まれた。 籠の中でのオシクラ饅頭にも慣れ、周りの仲間とボソボソと話していたゆっくりも、 何も見えない夜になると一匹、また一匹と眠りについた。 明日は人間さんにおうちへ帰してもらってゆっくりしよう。 一生あのゆっくりプレイスには戻れないことを知らない子れいむはすやすやと眠りはじめた。 子れいむが目を覚ますとそこは見知らぬ場所で、一見洞窟のようだった。 実際は洞窟ではなく建物の一室なのだが、野生を生きるゆっくりに知る由もなかった。 子れいむが籠の隙間から外を覗くと、他の籠に詰められたゆっくり達が一匹ずつ外に出してもらっていた。 窮屈な籠から解放されたゆっくり達は背伸びしたり跳ね回ったりして開放感を味わっていた。 子れいむも程なくして外に出された。 「だしてくれてありがとう!! ゆっくりしていってね!!!」 もちろん出してくれた人間さんにお礼を言うのを忘れない。 床に降ろされた子れいむはまずお母さんを探す。 少し見回せばすぐにお母さんは見つかり、まだ赤ちゃんの妹たちが甘えてくるのに身を任せていた。 ちなみに姉の二匹はほぼ大人なので恋人や友達と一緒にゆっくりしていた。 「ゆっ、おかーさんゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりしていってね!!!」 たった一晩でもお母さんと離れ離れだったのが寂しかった子れいむはいつもより長めに頬を擦り合わせた。 「ゆーん…おかーさんゆっくりー」 「おもうぞんぶんゆっくりしてね!」 「おねーちゃんれいみゅともゆっくちー!!」 「いっしょにゆっくちしようね!!」 甘えさせてくれるお母さんと甘えてくる妹たちの温かみはとても心地よかった。 ずっとこうしていたいぐらいだった。 しかしそんな安らげる時間も人間の声に妨げられた。 「はーい、ちゅうもーく!!」 パンパンと手を叩きながら現れたその人間に部屋の中のゆっくり達は注目する。 その人間は部屋をぐるりと見回してゆっくり達が話を聞こうとするのを確認すると話し始めた。 「今日からみんなはここで住むことになりまーす」 「ゆ"っ!?」 「ど、どういうことなの!?」 「ゆっくりせつめいしてね!!」 どのゆっくりも驚きを隠せない。 いくら暢気で素直なゆっくりだとしても突然知らない土地に住むように言われて、 「うん、ゆっくりくらすね」だなんて一つ返事で了承するほど馬鹿じゃない。 「どういうことも何も君たちはここで住むのは決定済みなんだよね。 まー、ゆっくりしていきなよ」 全く理解できなかった。 子れいむは人間の言っていることの意味が分からないのでお母さんに聞いたが、お母さんも良く分からなかった。 ざわめくゆっくり達だったが、やがて一匹のまりさが人間に質問する。 「ここはゆっくりできるの??」 本当にここに住むとした時、ゆっくり達にとって最も重要な条件。ゆっくりがその有無を聞くのは当然である。 その質問に人間はにっこりと笑顔を作って答えた。 「ゆっくり出来ないよ」 部屋の中の時間が数秒止まった 「なんでゆっくりできないの!?」 「ゆっくりできないならおうちかえるぅー!!」 「れいむたちはゆっくりしたいよ! にんげんさんゆっくりさせてよぉ!!」 「ゆっくりもとのおうちにかえしてね!!」 ようやく人間の言葉を理解したゆっくり達は一斉に騒ぎ始めた。 しかし人間はそんなゆっくり達を無視して次の言葉をつむぐ。 「まあ待て。 そんな君達にここでもゆっくり出来る方法を教えてあげよう」 「ゆ? ゆっくりできるの!?」 「ゆっくりしたいよ!! にんげんさん、ゆっくりおしえてね!!」 ゆっくり出来る、と聞いた途端にゆっくり達は目の色を変えた。 そして騒ぎ立てずに人間の次の言葉を待つ。 「これを見ろ」 人間は壁に立てかけてあった棒を持ち出した。 その棒には細い糸と、その糸の先に針が付いている。 「これは釣竿といってな。 まあ細かい説明はいいとしてこうやって使うものなんだ。ほれっ」 「ゆっ? ゆぎぃぃぃぃぃっ!??」 人間の持つ棒、釣竿の先から垂れる糸のさらに先にある針が近くに居たまりさの頬に刺さった。 そして人間が棒を持ち上げると、まりさも一緒に上がって宙ぶらりになる。 「いだひ、いだひよぉ!!」 「ゆっくりやめてあげてね! まりさいたがってるよ!!」 「もしかしてゆっくりできないにんげんさんなの!?」 「ゆっくりできないのはやだよ! いっしょにゆっくりしようよー!!」 仲間の痛がる様子を見て人間にやめてあげてと抗議する。 人間は釣り上げたまりさを胸元まで寄せると釣り針を抜き取り、床に戻してやった。 「ゆぇぇぇぇぇ!!!」 「ゆっくりだいじょうぶだった??」 「いたいのゆっくりとんでいってね!!」 床に降ろされたまりさは泣きながら家族のところまで逃げていった。 「なんでこんなことするの!?」 「ゆっくりしようよ!!」 まりさを庇うように人間の前に立ったゆっくりは頬を膨らませて威嚇する。 「見てのとおりこの釣竿、というかこの釣り針に触るとゆっくり出来なくなるんだ。 この先の生活ではこういった釣り針なんかに気をつけなきゃいけない。 それを教えたかっただけだよ。分かったか?」 「ゆ、ゆう…でもまりさはいたがってたよ。ゆっくりあやまってあげてね!」 「ああ、悪かった。 だけど危ないものは覚えないとゆっくり出来なくなるからな?」 「ゆぅ、わかったよ。でもつぎはいたいのやめてね!」 「出来るだけ、な」 それから子れいむ達はゆっくりするために気を付けることをその人間から学んだ。 釣り針は危険ということ。 糸の付いた食べ物や仲間に似せた人形も危ないこと。 そしてそれらは自分達を追ってきて、捕まったらゆっくり出来なくなること。 色んな危ないものを実演込みで一通り教えてもらったところでゆっくり達は場所を移された。 移された場所は高い崖に囲まれたような場所で、崖の上には何人かの人間が釣竿を持って座っていた。 さっきまでアレの危険について教えられた子れいむは思わず身を強張らせた。 「ほら、まだ大丈夫だから入った入った!」 それでも人間が急かすので子れいむはその壁に囲まれた中をお母さんに身を寄せながら進んでいく。 「よし全員入ったな。それじゃあゆっくりしていってね」 人間は唯一の出入り口を閉めた。 この中に残されたのはゆっくり達だけになった。 そして同時にこの釣堀での釣りが解禁された。 四方から飛んでくる釣り針やルアー。 それはどれもゆっくり達を狙って飛んできていた。 「ゆべっ!?」 「い"、い"だぁい"い"ぃ"ぃ"ぃ"!!!」 「いや"あ"あ"あ"あ"!!!」 群れの仲間同士で集まっていたので狙われたゆっくりは動くことも出来ずに釣られてしまった。 そしてその中には子れいむの姉のれいむの姿もあった。 「れいむおねーちゃん!!!」 「ゆっくりのぼっていかないでね! そっちはゆっくりできないよぉぉ!!!」 釣られたらゆっくり出来ないこと、食べられてしまうことは教えられたので知っている。 なので子れいむは泣きながら釣り上げられていく姉れいむを追いかけた。 もちろん追いつけない。 「おかーさん!! まりさぁ!! れいむっ…!! おちびー!!!」 姉れいむは釣り上げられる中、家族のことをただ呼び続けた。 他の言葉なんて出てこなかった。愛する家族と離れたくない一心で家族のことを叫び続けたのだ。 だが… 「おお、天然物はやっぱ美味そうだな」 「おがーざー…っ! あぎゅびぇっ……」 釣り上げられた姉れいむは釣った人間によって釣り針から外され、即座に噛み付かれて顔の右半分を失った。 「ゆびっ、びゅぼっ、ぎょっ」 姉れいむの残った左半身は聞くに堪えない奇声を発するだけ。左目は白目を剥いてしまっている。 「あ"あ"あ"あ"あ"あ"……」 子れいむはそれ以上左だけになった姉を見てられずに目を逸らした。 しかしすぐに姉の残りもその人間に食われて姿を消した。 子れいむは姉れいむの元気だった姿を思い出して泣いていた。 だがそんな泣いてる暇すらこの場所では与えられなかった。 「れいむあぶないよ!! こっちににげようね!!」 「ゆ、ゆゆー…」 お母さんの声に子れいむはついていく。 子れいむが跳ねて移動したと同時にその背中を釣り針が通過した。 動くのが少しでも遅れれば自分も姉と同じ運命を辿ったことだろう。 子れいむは生きた心地がしなかった。 「ゆぇーん! きょわいよぉぉ!!」 「ゆっくちしちゃいよぉぉ!!!」 お母さんの頭に乗った妹れいむ達は泣き喚いていたが、今はあやす暇も気力もなかった。 釣堀の中でゆっくりの群れはバラバラに逃げ回る。 しかしいくつもの釣り針が右へ左へ揺れて次々と仲間を引っかける。 子れいむの友達も、その友達のお母さんもどんどん釣り上げられていく。 辺りは悲鳴で溢れていた。 昨日までのようなゆっくりとした楽しげな声は聞こえない。 自分を庇ったお母さんを目の前で食べられる子ゆっくり。 赤ちゃんの口から上を釣り針に攫われた母ゆっくり。 恋人を釣り上げられ、ゆっくりと食される様を見せ付けられたゆっくり。 そんな絶望と悲愴に満ちた声が子れいむの耳を犯す。 「いやだよやだよやだよやだよおぉぉぉぉ!!!」 子れいむはもう何も見たくないし何も聞きたくなかった。 しかし死にたくないという欲求は強く、子れいむの体を動かし続けた。 泣きながら走る子れいむの前にはまだ頼れるお母さんがいる。 お母さんの大きな背中が子れいむの心の支えになり、子れいむを幾分落ち着かせた。 それに妹だって姉である自分が守らないといけない。 守らないといけなかった。 「お、おかーさん…れいむは? おちびちゃんは…?」 「…ゆ?? あ、あたまのうえにいるでしょ? いるよね??」 妹れいむ達がいた筈のお母さんの頭の上には何もいなかった。 頭の軽さに気付いたお母さんはゆっくりとこちらに振り向いた。 そして何かを見つけたらしいお母さんは体を小刻みに震わせ、歯をガチガチと鳴らし、涙を流した。 子れいむは嫌な予感がしながらも振り向く。 振り向いた先には逃げ惑うゆっくり達。 そして妹のリボンが乗っかった餡子の飛沫が二つあった。 「れいむ! れいむー!!!」 「あ、ああ"、あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!」 お母さんは妹達の名を叫んで駆け寄っていく。 子れいむは呆然とするだけだった。 いつの間にお母さんの頭から落ちていたのか。 お母さんの後ろにいた自分がすぐに気づかなきゃいけなかったのに…! それはほんの一分ほど前のことだった。 母れいむの頭の上で髪の毛を咥えていた妹れいむ達は周りの恐ろしい光景に悲鳴をあげ、その拍子に母から転げ落ちた。 その時子れいむは気が動転した状態だったので気付かなかったのだ。 そして転げ落ちた妹れいむ達は母のことを必死に叫んだ。 しかし悲鳴で満たされたこの釣堀の中で赤ちゃんの小さな声は誰にも届かず、間もなくして他のゆっくりによって潰されてしまった。 残されたのは潰れた妹の体とリボン。 もう舌足らずだけど元気な声で話しかけてくることも、甘えてくることもない。 「ごふぇ、ごめんなざいぃ!!」 「ごめんね! ごめんねぇぇぇ!!!」 子れいむもお母さんも妹れいむが死んだのは自分のせいだと思い、妹れいむの死骸に泣きながら謝った。 悠長に謝ってる状況でもないのだが、家族を立て続けに失った悲しみは二匹の正常な判断を失わせていた。 「おかーさん! れいむ! にげないとゆっくりできないよ!!」 そんな二匹を我に返らせたのが子れいむの姉であるまりさだった。 今まで恋人のれいむと共に行動していたまりさだったが、呆然としている二匹を見て近づいて来たのだった。 「ま、まりさ! ぶじだったんだね!!」 「まりさおねーちゃん! ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりしていってね!! とまってたらあぶないからにげようね!!」 「ゆっくりわかったよ!!」 まりさの言葉に元気を取り戻した子れいむ達はまりさと一緒に駆けていく。 まりさの恋人れいむもすぐに合流して四匹一緒に逃げ回る。 だが他のゆっくり達がバラバラに逃げ回る中、固まって逃げる子れいむ達はどうしても人間の目を引いてしまう。 「ゆっ? ゆっくりねらわれてるよ!!」 最初に気付いたのは恋人れいむだった。 子れいむ達もそこで飛んでくる釣り針やルアーが増えていることに気が付いた。 普段使わない五感をフルに使って避け続けるゆっくり達。実際はただ走っているだけで人間が勝手に外しているだけだったりする。 しかしそれでもこのままではいずれ誰かが犠牲になるだろう。 それを感じ取ったまりさは恋人のれいむに自然と話しかけていた。 「れ、れいむ…」 「どうしたのまりさ?」 「おうちにかえったら、ゆっくりできるようになったら…いっしょにくらそうね!!」 「ゆ、ゆん! やくそくだよまりさ!!」 危機的状況だからこそ幸せな未来を思い浮かべ、一組のカップルは将来を約束した。 しかし、その約束は一瞬でかき消された。 「ゆ、ゆうううぅぅぅ!!!」 「まり…さ…?」 「おねーちゃん!!」 恋人れいむの返事で気を抜いたまりさの右頬にありす型ルアーの針が容赦なく突き刺さり、まりさを連れ去っていく。 「まりさぁー!!! ゆっくりまってよ! ゆっくりまっていってよー!!」 愛するまりさ、将来を約束したまりさを追いかける恋人れいむ。 「ゆっく"りどまっでね! れいぶぎぢゃだめ"ぇ!!」 「い"、いだいぃぃぃ!?」 恋人れいむはまりさを追うことだけを考え、目の前の釣り針が見えていなかった。 そしてまりさの忠告が届く前に恋人れいむの左目は長く太い針に貫かれていた。 二匹はもう決して言葉を交わすことも体を合わせることもない。 それでも二匹はお互いに離れていく恋人の姿をずっと見つめ合っていた。 それは最後の最後まで。 恋人が食べられて崩れていくのを自分も食べられながら見つめていた。 そして夕方。 ゆっくり達には分からないことだが、閉店時間になったおかげで人間の姿はいなくなっていた。 あれからも逃げ続けた子れいむ達は疲れ果てて床にへたり込んでいた。 「なんでゆっくりできないの…!」 「ゆっくりじだいよ! もうおうぢがえる…!!」 子れいむの家族で生き残ったのはお母さんと子れいむの二匹だけ。 周りのゆっくり達も同じように家族を奪われ、恋人を奪われ、親友を奪われていた。 最初は逃げ回るのには窮屈だったこの釣り堀の中も今は随分と広く感じられた。 「おー、二十匹ってとこか。思ったより残ったな」 人間が食べ物をばら撒くために釣り堀の上に姿を見せた。 その人間に対してゆっくり達は懇願する。 「にんげんさぁん! もうれいむたちをおうちにかえして!!」 「ここじゃゆっくりできないよ!!」 「だしてよー! ここからゆっくりだしてよー!」 「ほぉ。まだ元気に叫ぶ力があるのか。 ま、明日もがんばれよ」 ゆっくり達がどんなにお願いしてもその人間は聞いてくれなかった。 あくまで仕事として食べ物を撒いてくれるだけだった。 「むーしゃ、むーしゃ。ゆっくりおいしいね」 「うん、ゆっくりできるね」 人間のくれた食べ物はとても美味しかった。 でもどんなに美味しい食べ物もゆっくり達の悲しみを癒すことなんて出来ない。 なので「しあわせー!」なんて叫ぶゆっくりはこの中にいなかった。 やがて日が暮れて真っ暗になるとゆっくり達は就寝する。 少なくなった群れの仲間たちは一か所に集まって身を寄せ合うようにして眠りにつく。 寝る前に仲間たちと、 「おきたらおうちにもどってるかな」 「だったらゆっくりできるね!」 「きょうのはぜんぶゆめだったんだよ!!」 「それはゆっくりできるね!!!」 なんてゆっくり出来る妄想を語り合った。 しかしゆっくり達の妄想は妄想でしかなく、 翌日もその次の日も高い壁に囲まれた中で釣り針から逃げ回る日々を過ごすことになった。 日ごとに避ける技術や体力の温存方法を学んだ子れいむ達は五日経ってもまだ釣られずに済んでいた。 「きょうこそゆっくりしようね!!」 「ゆっくりしようね!!」 いつかはゆっくり出来る日が来ると、子れいむ達はまだ希望を捨てずにいた。 最近は壁の上の釣竿を持った人間が少なくなり、最初に比べてかなりゆっくり出来るようになった。 さらに母と並んで壁を背にする陣形。これが子れいむ達を生き長らえさせた。 壁を背にすれば気を付けるのはほとんど見える範囲だけで済む。 それでも足りない部分はお母さんと二匹でカバーしあえば問題は無かった。 子れいむが壁の上の人間達の様子を見ていると、一人の男が現れた。 釣竿の準備を始めたその男が最初に誰を狙うのか注視する。 準備の終わったらしい男はこちらを真っ直ぐに見て釣竿を構えていた。 狙っているのは間違いなく子れいむ、自分自身だ。 子れいむはすぐに動けるよう身構え、男の僅かな動きをも見逃さぬように男を凝視する。 そして男の腕が動く。 「ゆっ!? れいむあぶないよ!!」 「ゆっくりよけるよ!!」 お母さんも自分の娘が狙われていることに気付いていた。 男が釣竿を持つ手を動かすと同時に子れいむに危機を知らせた。 子れいむも警告を聞くまでも無く、すでに動き始めていた。 子れいむは一跳びで回避して振り返ると、赤ちゃんれいむが通り過ぎた。 いや、あれはルアーだ。赤ちゃんれいむに似せた命ない人形。 さすがのゆっくりでも一目で偽者と分かる。 そりゃそうだ。あんな大きな釣り針を二つも付けた赤ちゃんなんているわけが無いのだから。 そんなふざけたルアーだが、地面すれすれを低空飛行して子れいむに向かってきた。 「ゆっくりしてね! おいかけないでね!!」 子れいむは捕まらぬように右、左、右、左とジグザグに跳ねる。 こうすればたいていの人間は諦める。 だがあの男は諦めなかった。 10分経っても、20分経っても子れいむを追い続けた。 30分も追われながら動き続けた子れいむは疲れ、動きが鈍くなっていた。 「ゆ、ゆぅ…っ、ゆぅ…! どうじで、れいむばっかりねらうのぉ!?」 「にんげんさん! れいむをねらうなられいむをねらってね!!」 お母さんは子れいむを狙う人間に自分を狙えと頼むが、それでも子れいむを執拗に追い続ける。 そしてとうとう子れいむは床にへたり込んでしまった。 恐らくあの男は体力が尽きて動けなくなるこの時を待っていたのだろう。 『すりすりちようね!』 偽赤ちゃんれいむの体内からそんな声が聞こえた。 大きな釣り針が子れいむの目の前まで迫る。 子れいむはギュッと瞼を閉じる。 「ゆっくりごめんね!!」 「ゆ"っ!?」 だが、次の瞬間子れいむは吹き飛ばされた。 目を見開くとそこには子れいむを庇い、代わりに釣り上げられるお母さんの姿があった。 「ゆぅ"ぅ"ーん"っ!! おがーざん!!!」 子れいむは連れ去られるお母さんを追いかけたい。 追いかけたいのに疲れ果てた体は動いてくれなかった。 「れいむっ…れいむ…っ!! ゆっくりしてね!! ゆっくりしていってね!!!」 お母さんは釣り上げられながら子れいむのゆっくりを願ってそう叫び続けた。 子れいむは涙を流しながらお母さんの最後になるであろう言葉に耳を傾けていた。 それが動けない子れいむがしてあげられる唯一最後の親孝行だった。 「おがぁざん、ゆっぐい"じでい"っでね"ぇ"…ゆっぐりぃぃ……」 お母さんの姿が見えなくなると子れいむは途端に寂しくなって大泣きし始めた。 もう家族はいない。頼れる存在もいない。 そして群れの仲間たちは逃げるのに必死で、泣き喚く子れいむに構おうとするものはいなかった。 しかしそんな中、子れいむに声をかけるものがいた。 『すりすりちようね!!』 どこかで聞いた声だった。 赤ちゃんのような舌足らずな発音でどこか無機質に感じられる声。 子れいむが振り向いた先には、大きな針をぶら下げた作り物が笑顔を浮かべて甘えてきていた。 「ゆ"う"い"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"っ!?」 頬に大きな針が深く突き刺さる。 赤ちゃんゆっくり型ルアーの言うところのスリスリとはこういうことだ。 かえしの付いた釣り針は一度刺さると中々抜けるものではなく、いくら子れいむが力んでも悲鳴を上げても針は外れない。 どんどんと体は地面から離れ、恐ろしい人間の下へと引っ張られていく。 「やだよ! ゆっぐりでぎないよ"!! ゆっぐりざぜでぇ"っ!!」 子れいむは姉や仲間たちの無惨な死に様を思い出し、必死に人間の手から逃げようともがく。 だが手も足も無い生物がどう足掻いたところで体をくねらす程度にしかならなかった。 大した抵抗も出来ないまま子れいむは大きいバスケットに押し込まれて閉じ込められた。 「ゆぅーん"っ!! だじでー!! ゆっぐりじだいよ"ぉ"!!」 「れ、れいむ…?」 「……ゆ?」 バスケットにはもう一匹ゆっくりがいた。 産まれた時から何度も聞いたその声は間違えるはずも無い。 お母さんだった。 「お"、お"が…おがぁざん………!!」 「れいむ…っ!!」 死んだと思っていたお母さんとの再会に、子れいむは涙をボロボロ流しながら母に体を押し付けた。 二度と感じられないと思っていた母の温もりが子れいむの傷ついた心を癒した。 お母さんも子れいむと同じように泣きじゃくっていた。 「よし、そろそろ行くかぁ」 バスケットの外から人間の声が聞こえる。どこかに行くらしい。 子れいむはまた怖いところに行くのかと不安に思い、母に「どうしよう」と問いかけた。 すると母れいむはゆっくりとした笑顔でこう答えた。 「このにんげんさんはとってもゆっくりできるよ! これからにんげんさんのおうちにしょうたいしてもらえるんだよ!!」 「ゆゅっ! そうなの!?」 「ゆ、そうだよ! これからはゆっくりできるんだよ!!」 「ゆゅーっ!!」 子れいむは素直に喜んだ。 他の家族や群れの仲間をほとんど失ったが、その分もゆっくりしよう。 彼女の頭はゆっくり出来る方向に関しては切替が早かった。 「しんじゃったみんなのぶんもゆっくりしようね!!」 「うん! にんげんさんとさんにんでゆっくりしようね!!」 人間が運ぶバスケットの中、子れいむとその母は釣堀という地獄から開放された幸せに浸っていた。 幸せすぎて何度もヘブン状態と叫んでしまったほどだ。 「着いたぞ。今日からここがお前たちのゆっくりプレイスだ」 バスケットの中で揺られること約一時間。 心地よい揺れにウトウト眠りかけていたところでバスケットから出された。 横には壁、上は天井、下は絨毯。そして子れいむの興味をそそる多くの見たことが無い物が揃っている。 ここは人間のおうちの部屋だった。 そして部屋の中心には初めて見るゆっくりがいた。 水色の髪、淡い桃色の帽子、そして羽を生やしたゆっくりだった。 ニコニコと嬉しそうな笑顔を振りまくそのゆっくりは羽を使って宙を浮いていた。 「うー! うー!」 「ゆっくりしていってね!!!」 「れいむとれいむはおやこだよ! ゆっくりしようね!!」 本当は親愛を示すために頬を擦り合わせたかったが、 そのゆっくりはれいむ達の上を飛んで旋回していたので届かなかった。 「ゆっ! おなまえはなんていうの?」 「ゆっくりおしえてね!!」 「れみりゃ、うー!!」 そのゆっくりはれみりゃと言うらしい。 子れいむはこの空を飛べるれみりゃが羨ましく、同時にお友達になりたいと思った。 お母さんもきっと同じ気持ちだろう。 「それじゃ、れみりゃの遊び相手になってくれ」 「ゆっくりわかったよ!!」 「ゆっ、でもおにーさんはどこにいくの? いっしょにゆっくりしたいよ!!」 「いっしょにゆっくりあそぼうよ!!」 「ま、食事の時にまた来るよ」 そう言うと人間は部屋を出て扉を閉めていった。 部屋に残されたのはれみりゃとれいむ親子の三匹だけになった。 子れいむはれみりゃと遊びたかったのですぐに声をかける。 「れみりゃ! いっしょにゆっくりしようよ!!」 「うー!!」 子れいむの言葉にれみりゃは嬉しそうに近づいてくる。 そんなれみりゃに親愛のスリスリをしようとする子れいむ。 だがスリスリしようとした子れいむの頬。 プニプニした頬にれみりゃの牙が突き立てられた。 「ゆぎぃっ!! い"だっ! い"だい"よ"…!! ゆっくりやめてね!! い"だい"い"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"!!!!」 「うー! うー!!」 外的の少ないゆっくりプレイスで生まれ育ったれいむ親子はれみりゃを知らなかった。 れみりゃはれいむ種やまりさ種を大好物とする捕食者。 そのれみりゃの中でも最も素早い体無しが目の前にいるのだ。 知識のあるゆっくりであればこの部屋に連れて来られた時点で間違えなく怯えて部屋の隅に逃げる。 れみりゃを知らない子れいむはそんな相手と友達になろうとしたのだ。 そしてその結果が今である。 「ゆ"う"ぅ"ぅ"!! ぐりゅじぃよ"!! がらだがおがじい"よ"……!!」 子れいむはれみりゃによって体の中身を吸い上げられていた。 言わば内蔵と脳の合わさったものを無理矢理引きずり出されるような感覚。 嘔吐しそうな苦しみと全身に響く痛み。 そして圧倒的な喪失感が子れいむを襲う。 お母さんは突然のことにしばらく固まっていた。 無害そうなあのれみりゃが娘を攻撃するだなんて夢にも思ってなかったのだ。 だからこそ目の前の光景が信じられなかった。 しかし娘の悲鳴が目の前の光景が真実だと教えてくれた。 娘がれみりゃに食べられようとしている…! 「やめてね! れいむからはなれてね!!」 お母さんはれみりゃに体当たりしようと身構えた。 が、それより前にれみりゃは子れいむから口を放していた。 「ゆ"、ゆ"、ゆ"ぐ…ゆ"ぐ、り"」 子れいむは死ぬほどではないが餡子を抜き取られた痛みに痙攣していた。 お母さんはすぐに娘の下へ駆け寄ろうとする。 「うー!」 「あ"あ"あ"あ"あ"!! やめでね! ゆっぐりじでね!!」 れみりゃはそんなお母さんれいむに噛み付いた。 そして子れいむと同じように中身を吸い上げていった。 母れいむはその苦しみに娘と同じように悶絶し、悲痛な叫びを上げた。 それからしばらくして、母れいむはれみりゃから解放された。 今は娘と仲良く並んで痙攣していた。 釣り針から逃げる生活から解放されたと思えば、今度は捕食者から逃げる生活だった。 前と違うのは捕まっても死ぬことはない、いや殺されないところだった。 れみりゃはれいむ達をあくまで玩具として扱っていた。 だから死ぬまでは中身を吸わない。 時には噛み付かずにれいむ達を追いかけて、必死に逃げて怯える姿を見て楽しんでいた。 釣り堀から助けてくれた人間はここでは常にれみりゃの味方だった。 れいむ達がれみりゃの玩具だから傷を治してくれるし食べ物もくれる。ただそれだけ。 子れいむは何で自分達がこうなったのか分からなかった。 平和な森の中で家族と、群れの仲間と仲良く暮らしていただけなのに。 あの森は悪意のない世界だった。 世界のすべては善意、つまりゆっくりで出来ているはずだった。 人間がそれを壊し、子れいむ達を悪意の世界へと連れ出した。 釣られた仲間は食べられ、目の前のれみりゃは自分たちを食べる。 子れいむが分かったのは自分たちが食べられる存在であるということだけ。 何故ゆっくり出来ないのか。 誰かのせいにすることなんて思い付かない子れいむのゆっくりした頭ではその理由が思い当たるわけもなかった。 そして今日もれみりゃの遊び相手にされる。 一緒にゆっくりすることはない。一方的に相手が子れいむとお母さんを傷つける。 この部屋でゆっくり出来るのはれみりゃだけ。 「いっじょに、ゆっぐりじようよ"…」 「うー!!」 返事は牙で返された。 子れいむは餡子を吸われながらお母さんを見る。 お母さんはここ数日は子れいむの言葉にもほとんど反応しなくなっていた。 たまに独り言をブツブツ言っている。起きながら夢をみているようでもあった。 もうお母さんは、そして自分も二度とゆっくり出来ないのかも知れない。 子れいむは餡子を吸われ、朦朧とする意識の中で漠然とそう感じ取っていた。 終 by 赤福(ゆっくりしたい人) このSSに感想を付ける
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■七月十日 晴れ 10匹の子ゆっくりを引き連れた大所帯の野良ゆっくり家族を発見。 親はれいむとまりさのよくある種だ。 「ゆっくりおさんぽするよ!」 「ゆっゆっゆっ♪ちあわちぇ~」 親子で散歩しているようだ。 ちあわちぇ~、か。 散歩一つでここまで満たされるものなのか。 仕方が無いのでその至福、壊すとしよう。 「ゆ゛ぐっ!な゛に゛ずるの゛ぉぉぉぉおぉぉ!ばなじでえ゛え゛ぇぇぇぇぇ!」 「おがぁぁじゃあ゛ぁぁぁん゛!がえじでぇぇえ゛ぇぇぇぇ」 「ごれじゃゆっぐりでぎないよぉぉぉ!」 「どうじでごんなごどずるの゛お゛お゛お゛お゛!」 親れいむのリボンを掴み上げ、そのまま家に持ち帰る事にした。 離せと泣き喚く親れいむと、同じく泣き喚きながら必死に 俺の後をついてくる親まりさと10匹の子ゆっくり達。 このまま家に連れ込んでしばらく飼ってみよう。 一度ゆっくりを飼ってみたかったんだ。 虐待するのはその後だ。 ■七月十一日 曇り 「おにいさんゆっくりここからだしてね!」 「ゆっくりマイプレイスにかえしてね!」 昨晩は大変だった。夜通し泣き叫び続け、出せ、出せと哀願してくるのだ。 大き目の籠の中に閉じ込めたが泣き声で俺も全然眠れなかった。 しかし一夜明かした今は大分落ち着きを取り戻した様子。 「プレイスも何も、今日からここが君たちのおうちだよ」 「ゆぅ!?なにいってるの?ばかなの?」 「おにいさんいみがわからないよ!ゆっくりせつめいしてね!」 いちいちイラつく饅頭共だ。 だか飼うと決めた以上、簡単にキレちゃいけない。 虐待はいつでもできるのだから。 「ここは冬は暖かいし夏は涼しい、広いし、ご飯もおやつもいっぱいある夢のようなおうちなんだよ」 「ゆ゛っ!!しゅごい!おにいさんはゆっくりできるおにいさんだったんだね!」 「そうさ、だから今日からここが皆のゆっくりプレイスさ」 拉致監禁されていたことも忘れてゆっくり達は狂喜乱舞で跳ね回る。ウゼェ。 今すぐ虐待したい衝動を抑え、精一杯作った笑顔でゆっくり達に笑いかける。 「ゆっくりあんしんしたらなんだかスッキリしたくなってきたよ!」 と親まりさ。 言うやいなやいきなり体をこすりあい息を荒げ出す親2匹。 「はぁっはぁっゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆ゛っ!」 「ゆっくりスッキリしてね!ゆっくりスッキリしてね!」 ちなみにここは俺のベットの上だ。 そんな所でいきなり交・・・餡子の交換を始めやがった。 「こんなにゆっくりできるひろいおうちならいっぱいこどもうめるね!」 「まりさとれいむのあいのけっしょういっぱいつくろうね!」 布団の上に餡子がこぼれている。ウゼェ。 ■七月十二日 雨 「ゆっくちあちゃごはんちゅくってね!」 「さっさとゆっくりつくってね!」 俺は今奴らの昼食を作っている。 今まで雑草や芋虫等しか食してこなかったらしく、人間の料理は今朝の朝食がはじめてだったようだ。 想像を絶する美味さに気絶しかけ、痙攣を起こす子ゆっくりもいたぐらいだ。 それにしても奴らの上から目線の態度。俺はもう今朝からイライラしっぱなしだ。 だが何故だろうな。このイライラが癖になりつつある。 奴らが俺に命令口調で何か言えば言う程、俺の中で何かが積み重なっていくのだ。 その頂にあるものは、おそらく、快感。 「はやくちゅくってねっていってるでちょ!おにいしゃんばかなの?のうなしなの?」 「はぁい♪い~まできたよぉ」 五目チャーハン。俺とゆっくり都合12匹分の大作である。 「むっしゃむっしゃ。うめぇっ。マジうめぇ!」 「パネェッ!クチャクチャ、むぐっ、マジパネェッ!」 瞬く間に床に広がるチャーハン。皿に盛った意味がない。 顔面からチャーハンめがけて文字通り飛びつくゆっくり達。 クチャクチャ耳障りな音を立てながらチャーハンを貪る。 「むっちゃむっちゃ、ちあわちぇ~♪」 「ゆっ!もうなくなっちゃったよ!おかわりほしいよ!」 「おにいさんおかわりないの?ゆっくりおかわりしていってね!」 食費だってタダじゃない。 一日三食こんないっぱい作ってたら食費だけで給料とんじまう。 我侭言わないでこれで我慢してね、と優しく丁寧に俺は説明した。 「どうじでぞんな゛ごどいう゛の゛お゛ぉぉぉ!」 「ゆ゛っぐりでぎないおにいざんはゆっぐりおかわりづぐるの゛ぉぉぉ」 「そうだよ!だからゆっくりおかわりつくってね!」 あはは、仕方ないなぁ君たち。作ってあげよーじゃないか。 「待っててね、今すぐ作るから」 「はじめからゆっくりつくってればいいんだよ!」 「むのうなおにいさんだけどこれでれいむたちゆっくりできるね!」 「おかあしゃんのしょうりだぁ~!ゆっくちちていってね!」 晩飯の時も似たような事の繰り返しだった。 ■七月十三日 雨 今日も雨か。 人間の家は巣としては広大だが、ゆっくり達は外の世界を知っている。 散歩もできないんじゃ奴らもストレスたまるだろうな。 「おかぁしゃぁぁん、おしゃんぽちたいぃー!」 「おしゃんぽおしゃんぽ!ゆっくちおしゃんぽー!」 案の定散歩をねだりはじめている。 しかし基本饅頭である奴らは濡れるわけにはいくまい。外は豪雨だ。 子ゆっくり達は一昨日の情事で5匹増え、今や17匹が家の中を所狭しと跳ねまくっている。 本は破れ、CDは割れ、鏡も割れ、洋服はずたずた。 俺はこいつらを飼って何がしたかったんだろう・・・後悔しはじめていた。 「おにいざんのおうぢじゃゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛ぃぃぃ!」 「おにいざんな゛んでれいむとまりさをどじごめ゛る゛の゛ぉぉぉ!」 お?気がつくと散歩できない鬱憤が俺に向けられていたらしい。 「この雨じゃね、皆濡れるの嫌だろう?うちで我慢してね」 「ばがぁぁぁぁ!ゆっぐり゛でぎない゛おに゛いざんはぢね゛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」 「ゆっくりちね!ゆっくりちね!」 にこにこ。俺は黙って笑顔でいつづけた。 今ここでムザムザ死なすわけにはいかない。 「我慢してね」 ■七月十四日 晴れ 「ゆっくちはれたよ!」 「おひしゃまぽかぽかだよ!これでゆっくちできるね!」 昨日は大変だった。 連れてきた初日の様に、一日中体力の続く限り泣き喚き、家のものに八つ当たりをし、 出した食事以外にも本や絨毯を無茶喰いし、体力が尽きると寝て、 起きては同じ事の繰り返しだった。 「おかぁしゃん、おしゃんぽちよ!」 「そのまえにゆっくりあさごはんをたべるよ!」 「あしゃごはん!おにいしゃんゆっくちあしゃごはんをつくってね!」 壁紙は剥がれ落ち、テレビも映らなくなり、カーテンも八つ裂きにされ、 机は折られ、ガラスも割れている。ていうか割れた窓から雨がふきさして冷たかった。 「おにいさんはとっととあさごはんを作ってね!これでゆっくりできるね!」 「おにいさんきいてるの?ゆっくりごはんつくってね!」 柱もかじられ所々削ぎ落とされている。 暑さをしのぐクーラーも壊れた。パソコンも壊れた。 「なんだかけさからあついよ!ゆっくりすずしくしてね!」 「あしゃごはんゆっくちつくってね!」 「きいてるの?ねぇ?おにいさんばかなの?」 俺の家は、もう、 「ねぇ?むのうなの?おにいさんあほなの?」 「おしゃんぽ~!あちゃごはーん!ゆっゆっ~♪」 「とっととつくるといいよ!ゆっくりしていってね!」 「ねぇばかなの?ていのうなの?おにいさんきいてるの?」 「キィヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア キエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!」 「「「!!!???」」」 俺の奇声にゆっくり達は一様に口を縦に広げ、歯を剥き出し、目を丸くし、驚いている。 「「「・・・・・・」」」 俺の豹変に驚きのあまり思考が停止してしまったらしい。驚いたまま固まっている。 「ふぅははは、フリーズしちゃったかなぁ?君たちはメモリが足りないよねぇひひひ」 ぴくりとも動かない16匹のゆっくり達を逃げられないように籠へと移し、閉じ込める。 一匹の親れいむを残して。 3分くらいしてようやく1匹、2匹と我を取り戻していく。全員が気付くのに5分かかった。 「・・・!おかぁしゃん!おかぁしゃんをかえして!」 「れいむをはなしてぇぇぇぇ!」 「ゆ・・・ゆっくりはな、は、はなしてね!」 親れいむの髪を鷲掴みし、持ち上げ、渾身の右ストレートを顔面に放つ。 ぶぎっ 口からよだれを撒き散らしながら空中を舞う親れいむ。そのまま壁に叩きつけられた。 「い゛い゛い゛だぁい゛い゛い゛い゛い゛ぃぃぃぃぃ!」 「お゛があ゛じゃあ゛ぁぁぁぁん!!なにじゅるの゛ぉおおおお!!」 「ゆ゛っぐり゛やめであげでね゛ぇぇぇ!!」 ふは、ふははは。これだ。これだ、このために五日間我慢したんだ! 会心の快楽が胸に広がっていく!脳汁があふれ出てくるのが解る! 「おまえらゆっくりは~、帽子やリボンがないと同族に虐められるんだ・・・てぇっ!?」 言い終わると同時にぶちっと親れいむのリボンを剥ぎ取るとがえじで、がえじでと跳ね上がる。 痛みで動けない親れいむの目の前で、リボンをライターで燃やしきると 「ゆ゛っっっっ!!!???ごれじゃぁぁも゛う゛ゆっぐり゛でぎな゛い゛い゛い゛ぃぃぃ!!!」 一直線に俺めがけて跳ねてくる親れいむ。ぼよん、ぼよんと足に当たってるが全く痛くない。 「ゆ゛っぐりぢんでね゛!ゆっぐりぢね゛ぇ!」 「さしゅがおかぁしゃんだね!これでおにいしゃんもゆっくりちぬね!」 「れいむのしょうりはもくぜんだね!ゆっくりしんでね!」 ガゴッ!!!! 跳ねてくる親れいむをおもっくそ蹴り上げると鈍い音がした。痛い。 歯が足に突き刺さったようだ。親れいむはというと、天井に激しく叩き付けられ、 床に落下してくるまでの間にボロボロと歯を空中に撒き散らしていった。 どうやら全部の歯が抜け落ちたようだ。ざまぁみろ。 「む゛む゛む゛!へいむはなひもわるひほとひてないのひー!!」 ほう、この親れいむは中々タフだな。これだけのダメージで餡子を撒き散らさないとは。 だが全部の歯が抜け落ちた親れいむ、ふがふが何言ってるかまるで解らない。 「人間語喋れやこの糞饅頭があああああああああああああ!!!」 ガッガッガッガッガッガッガッガッガツ!ベキャッゴッ! 何度も何度も力いっぱい踏みつけ、蹴り上げて空中に舞った所を右アッパーで天井に叩きつける。 ぼちゃっと落ちてきたそれはまるで餅のようにぼよんぼよんになって、顔面中青あざだらけになっていた。 「弾力性のあるゆっくりだな。だが・・・それでこそリンチのし甲斐があるってもんだぜえええ!!!!」 何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も床に叩きつけては蹴り上げて、 泣き叫んでいた親れいむも徐々に口数が減り、最後の方は”ゆっくりしていってね”としか呟けなくなっていた。 (もっともその言葉も歯が抜け落ちて聞き取り困難であったが) 「ゆ゛っ・・・(ビクンッ)・・・ゆ゛っひひっ(ビクンッ)っひへひっへべ・・・(ビクンッ)」 「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、ふふ、もう意識が混濁してきたか、はぁ、はぁ、お楽しみは、はぁ、これからだぜ」 「ゆ゛っやっやめっや゛べであげでえ゛ぇぇ!」 「おがあ゛じゃんじんじゃう゛う゛う゛う゛う゛!」 「そうか、じゃあやめてあげよう、その代り・・・」 籠の中にぐちゃぐちゃになった原型を留めていない親れいむを放り投げると赤ちゃんゆっくりを1匹持ち上げる。 「代わりにこっちのゆっくりをいたぶろうかな~♪」 「ゆ゛っ!や゛べであ゛げでえ゛ぇ!」 「じゃおまえ」 「ゆ゛ぐっ!!??」 やめてと哀願した親まりさを指差し持ち上げる。 「ゆ゛っぐり゛ばなぢでね゛!?おに゛い゛ざんやめでね゛!」 「じゃあ自分の子の中から代わりを選べ。そしたら君には何もしないであげるよ」 「!・・・ゆぅぅ・・・じゃああのこをかわりにしてね!」 「ゆぎゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!」 代わりに選ばれた子ゆっくりが絶叫する。 籠の中は涙と涎と尿と便でべちょべちょだ。そこから解放される子ゆっくり。 「これでまりさはゆっくりできるね!ゆっくりしていってね!」 安堵したのか、いつもの平穏な表情になる親まりさ。 状況は何も変わっていないのにもう危機から脱出できたと思っているのだ。 だが何も解ってない。俺はこの子ゆっくりをリンチした後、同じように代わりの誰かを選ばせ、 最後の一匹になるまで同じ事を繰り返す。親まりさもいずれは誰かに選ばれるのだ。 奴らはなまじ知性があるから、中途半端な知性を持つから、人間に感情移入されてしまう。 知性の低さゆえ短絡的かつ利己的で、無責任に自分の欲求だけ満たそうとする。 俺はそんなゆっくりが・・・大っ嫌いなのさ。 遥か頂まで登りつめた何かは、音を立てて崩れ去っていた。 ■十二月二十八日 雪 あれから毎日毎日、来る日も来る日も奴らをリンチした。 誰一匹も殺す事無く、全員に均等に生き地獄を味あわせ続けた。 トレードマークの帽子やリボンも全て剥ぎ取り、原型を留めていないそれは、 もはやゆっくりとは言えない別の何かであった。 「ほら、今日は皆を解放してあげるよ。野におかえり」 元いた森にゆっくり達を還す。数え切れない絶望を味わい続けてきたゆっくり達。 あれで奴らはなかなか頑丈で、最後まで1匹も気がふれたゆっくりはいなかった。 最後まで自我を保ったまま耐え続けた。故に想像を絶する拷問になりえたのだ。 「今は冬眠シーズンだね。ほら、いっぱい餌あげておくからね」 とぼとぼと野に還るゆっくり達。 しかしもはやゆっくりではないその”何か”はこれからどう野良の世界に対応していくのか。 否、対応できない。 同族からは同族としてすら認めてもらえずに虐待されるであろう。 餌をとっても歯が抜け落ちた口ではまともに食す事もできないであろう。 これから一体どんな野良人生が奴らを待ち受けているのだろう。 そう思うとわくわくが止まらない。 俺のゆっくり虐待観察日記は今、これからはじまるのだから! 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前 「じゃあ、また明日ねー」 分かれ道に着いた。 3つに分かれており、少年達はそれぞれ別の道で家路につく。 「ゆっぐふぅ・・・!までえええ!!!ゆっぐりまっでね・・・!」 「ゆゆっふふぅっ!ごども゙をがえじでねっ!」 後ろから、ボロカスになった皮を引きずって現れたのは親れいむと親まりさ。 道端の石を蹴飛ばしながら帰る、そんな遊びを親ゆっくりで楽しんだ結果だ。 手に握られた大事な子ゆっくりを返してもらうため、蹴飛ばされても蹴飛ばされても親ゆっくりは少年達に体当たりをし、蹴飛ばされた。 遥か頭上から最愛の我が子の声がする。 顔の皮が破れても、額から餡子が漏れても、底部の皮が磨り減って痛くても、親ゆっくりは跳ねることができた。 「まだついて来てるよ」 「しつこいね」 全身泥まみれ、皮は破れて餡子が見え、髪の毛もところどころ引きちぎれている。 綺麗好きのゆっくりにあるまじき姿だ。 「お!いいこと思いついた!」 ポン、と手を叩くタケ。 分かれ道になる手前で2人を止めた。 「おい、ゆっくりども。子供を返して欲しいか?」 タケは目線を親ゆっくりにまで下げ、右手に持った子まりさを突き出した。 それを見た親ゆっくりがスピードを上げ、タケに近づく。 「ゆっぐぅ!!がえじで!!れいぶのごどぼがえじでええええ!!!」 「おねがいじまず!!がえじでぐだざい!!」 顔を地面に近づけたり、遠ざけたりする2匹。 人間で言う、頭を下げる、ジェスチャーなのだろうかとシンは思った。 「ゆ!まりさもおかーさんのところにかえりたいよ!!!」 「ゆっくりかえりたい!!おねがいだからはなしてね!!」 「れいむはおかーさんとゆっくりしたいよっ!!」 3人が手に持つ子ゆっくりも騒ぎ始める。 唯一、コウの持った土れいむだけは苦痛に耐えるのに精一杯で、そちらにまで頭が回らないようだった。 「よし、じゃあ最後まで僕達ついてきたら返してあげるよ」 その一言で、これからタケが何をしたいのかコウとシンは即座に把握した。 「ゆ・・・っ!がんばってついていくよ・・!ごどもだぢ、ゆっぐりしてでね!!」 「まりざ、ぜっだいにこどもだぢをだずげるよ!!」 「ゆ!がんばっておかあさん!!」 「ゆっくりしないでついてきてね!!」 「みんないっしょにゆっくりしようね!!!」 意気込むゆっくり達。 そしてタケは家族の絆をブチ破る一言を放つ。 「じゃあどの子がいらないのか、よく考えてね」 タケが子まりさを野球のボールのように握り、親ゆっくりに見せた。 それと同じようにコウとシンも子れいむを親ゆっくりに見せる。 「・・・ゆ?何を言ってるの・・っ!?いらない子なんていないよっ・・・!!」 「ゆ、ゆ、ゆっくりしたごどもだよ・・みんなだいせづだよ!」 「コウちゃん、シンちゃん。また明日ね」 「ん、タケちゃん、シンちゃん。ばいばーい」 「2人とも、明日また」 3人は子ゆっくりを親ゆっくりに見せたまま、後ろ歩きで進む。 その道は3人とも別々だ。 「ゆっ・・!?どぼじで・・・どぼじでいっしょぢゃないど・・・?!」 「ゆぐぅ・・・びんないっじょにがえっでね!!!」 「僕達は家が違うからね。ここでお別れなんだよ」 「返して欲しい子供を持った人のところについておいで」 「ちゃんと返してあげるよ」 ゆっくりと遠ざかっていく3人。 「ゆ・・・!ありざ!!れいぶど分がれで、ちがう方へ行ごうね!!」 「ゆ!そ・・・ぞうだね!!」 考える知恵も餡子も少なかったが、とっさに親れいむは別々に子供を返してもらうことに気が付いた。 親まりさは、すでに親2匹で付いていくことしか考えていなかったのだ。 「ゆ・・でも、どのこどもを捨てるの・・・!?」 捨てる、という言葉が子ゆっくりに聞こえたのか、少年たちの手の中の子ゆっくりが一斉に騒ぎ始めた。 「ゆううう!!おかあざん!!!がわいいれいむをたすけでええええ!!!」 「ま!まりざのほうががわいいよおお!!!それにまりざがいちばんおっきいよ!!!ゆ゙っくりしてるよおぉお゙!!!」 「おかあざん!!れいむをだすけでええ!!!こっちにはもうひとりれいむがいるよ!!おとくだよ!!!」 子供たちの悲痛な叫びに、親ゆっくりは悩みはじめる。 しかし悠長に考えてるヒマなどない。 こうしているうちに、少年達はどんどん遠ざかっている。 「ゆ・・・!れいむ゙は、れいむ゙は一番大きいまりさをたすけるよっ!ばりざもゆっくりしないで判断じでね゙・・・っ!」 一番最初に誕生した我が子。 自分の始めての子供。 それが子まりさだった。 親れいむはその日の感動を忘れたことはなかい。 大好きなまりさと同じ、まりさ。 絶対に、なくしたくなかった。 親れいむは破けた底部をものともせず、タケのいる道へと跳ねていった。 「ゆ!おかあさんありがとう!!まりさはおかあさんとゆっくりできるんだね!!」 跳ね寄ってきた親れいむに歓喜の声を上げる子まりさであったが、残されたほうはたまらない。 「どぼじでえぇっ!?おがあざん!!れいむ゙がわいいよっ!?!」 「おがあざん!!おがあざんなんがゆっぐりできないよっ!!!」 それを見ていた親まりさは、一瞬、選ぶのを放棄したくなった。 しかしそれでは3匹の子れいむが全て死んでしまう。 ならば、心を鬼にしなければ。 親まりさは決断した。 「れいぶぅっ!ごっぢはまがせでねっ・・!そっぢはまがせたよ・・!」 跳ね寄ったのは、シンのほう。子れいむ1匹だ。 「どぼじでえ!?どぼじでそっぢなのおおおお!!?」 選ばれなかった、コウの手に握られた子れいむ。 それは子れいむが悪いわけではなかった。 親まりさは冷静に判断したのだ。 あの土が詰められた子れいむは、長くない。 むしろ、障害が残って家族のお荷物になる可能性のほうが高い。 だから、元気な子れいむがいるシンの道を選んだのだ。 これが親れいむであったら、迷わず2匹返してもらえるコウの道を選んだだろう。 実際に産んだ親なのだ、多いほうを選ぶ。 たとえ障害を持っていたとしても、可愛い我が子なのだ。 「よーし、ちゃんとついてこいよ。じゃーねーシンちゃん、コウちゃん」 「おーう、ばいばーい」 「じゃねー」 最後の挨拶をし、3人はそれぞれの道を歩いた。 タケが家に帰ると、ゆっくり煎餅が用意してあった。 今日のオヤツ、と台所から声が聞こえた。 手を洗い、戻ってくるとなにやら機嫌の悪そうな母親が立っていた。 「な、なに?」 「タケシ!あんたまた死んだゆっくりを庭に捨てたね!アリが沸くからちゃんと処分しろって言ってるでしょ!!」 反論の余地もなく、思い切りゲンコツを叩き込まれた。 「痛え!!」 「痛え、じゃない!早く処理してきな!!それまで煎餅は禁止!!」 ゆっくり煎餅の入ったお盆を取り上げられ、しぶしぶタケは庭に向かった。 「ゆっくりしないで!おかーさん!!ゆっくりしないでえぇぇっ!!!」 庭では、死んだ親れいむに子まりさがまとわりついていた。 コウ、シンと分かれてから、親れいむは石蹴りの石の代わりをずっと勤めていた。 付いてくれば返してやるというのに、あのバカは体当たりを繰り返すのだ。 せっかくだからとタケが蹴りで応戦していたためだろうか、家に付く頃にはいつ死んでもおかしくないほど衰弱していた。 死体となった親れいむは、餡子が目に見えて減っていた。 決定的な傷はないものの、漏れた餡子が多くて死んだのだろう。 庭に入った時点で、子まりさを返してあげたので、その直後に死んだに違いない。 きっと、高まっていた緊張感が解けたため、そのままゆっくりしてしまったのだ。 「しゃーない、埋めるか」 物置からスコップを取り出し、木の横に穴を掘る。 深さは1メートルほど。 あまり浅いとアリが湧いて、またゲンコツが落ちてくる。 「おい、どけ」 泣き喚く子まりさを投げ飛ばし、死体となった親れいむを穴に投げ入れる。 「やめて!!!おかあさんをうめらいれええ!!!」 無視して土をかける。 すると、子まりさが穴に飛び込んだ。 「おねがいじばす!!おがあざんをごろざないでぐだざい!!」 「もう死んでる」 穴の横に積んであった土の山を一気に崩し、子まりさごと穴に埋めた。 「さーて、煎餅食ーべよっと」 「ゆ・・・!もうずぐだよっ・・・もうずぐゆっぐりできる゙おうぢだよ・・!」 親まりさは子れいむと共に農道を跳ねていた。 「ゆ!これでゆっくりできるね!かわいいれいむをえらんでくれてありがとう!」 満面の笑みで微笑む子れいむとは対照的に、親まりさは顔面蒼白だ。 分かれ道で親れいむと分かれてから、親まりさはただシンについていった。 体当たりや罵声に意味がないことに気が付いたのだ。 それよりも、体力を温存することを得策とした。 結果、それは正しい選択であった。 親まりさは知らないが、親れいむは無謀にも体当たりを繰り返して死んだ。 「おうぢで、れいぶのがえりを待とうね!」 何とか笑みを作って、子れいむを安心させる。 そう、もう巣穴のすぐ近くまで来ていたのだ。 まずは体力を回復させるために、巣穴に残ったご飯を食べよう。 確か昨日大量に確保したエサが保存してあるはずだ。 れいむの分も取っておかなきゃならないけど、半分なら食べても大丈夫だろう。 そんなことを親まりさは考えていた。 「お前はいらない子だったんだね」 コウは手の中で泣く子れいむに話しかけた。 「ゆうっ・・!ゆうぅぅう・・・どうじで・・・どうじでええ・・・・」 親ゆっくりが自分を選んでくれなかったことがショックだったようだ。 まるでコウの話など聞いていない。 「僕もいらないよ。殺さないから勝手に生きて行ってね。こっちのれいむで十分だよ」 こっち、といって見せ付けるのは体に土を入れられ、声が枯れても苦しみ続ける子れいむ。 珍しいゆっくりは面白い。 親に捨てられただけの平凡な、どこにでもいるゆっくり霊夢の子供などコウの関心の範囲外にいた。 「お、コウジ君じゃないか!今帰りかい?道草食いすぎだぞー」 家も近くなった頃、コウの前にリヤカーを引いた近所のお兄さんが現れた。 「あ、お兄さん!見てみて!すごいゆっくりだよ!!」 お兄さんはゆっくりのエキスパートだ。 コウはお兄さんとゆっくりの話をするのが好きだった。 「お、なんだこのれいむは?ぴくぴくしてるぞ。後ろにいるのは普通のっぽいが」 後ろの、と言われてコウが振り返ると、さっき捨てたはずの子れいむがいた。 親に捨てられ、行くアテがないのだろうがコウにはどうでもいいことだ。 「これね!餡子を減らして変わりに土を入れたんだよ!頭の部分が外れるから見てよ!」 土れいむを受取ったお兄さんは頭頂部をめくり、詰め込まれた土を見た。 「すごいね!コウジ君。これはかなりの上級テクニックだよ!」 「え!これって凄いの?」 笑顔いっぱいで、お兄さんは質問に答えてくれる。 「これはね、餡子の再生を土で妨害できるんだ。餡子を補充しようにも、そこには土があるからね。決して回復しないんだよ」 「へぇー!」 「だから、この子れいむからはずっと土の痛みが消えないんだよ。まあ、成長したら餡子が増えるけどね」 「でも、土はずっとこのままなんでしょ?」 「そう、よく分かってるねコウジ君!いくら餡子が増えても、この土は外に排出できない。つまりずっと苦しむことになるんだ」 「ふーん」 「これは加工所でも使われてるテクニックなんだよ。あっちは衛生に問題のないプラスチックなんかを入れるみたいだけど」 嬉々として語るお兄さんの目は、まるで少年のようだ。 「何かいいことがあるの?」 「あるある。苦しめば苦しんだだけ、ゆっくりの餡子が美味しくなるのは知ってるね?」 「うん」 「つまり美味しい餡子を作るために、加工所の研究室で生み出された飼育方法だよ。これを発見しちゃうなんて、コウジ君、やるじゃん」 ゆっくりのエキスパートにほめられ、なんだか嬉しくなるコウ。 ふと、お兄さんが引いているリヤカーに目が行く。 風呂敷がかけてあり何を積んでいるのかわからない。 「お兄さん、それなに?」 「ああ、これか。これは川の向こうにゆっくりアリスの群れがいるって教えてもらってね。捕獲して帰ってきたんだ」 お兄さんが風呂敷をめくると、透明な箱にところせましとゆっくりアリスが詰まっていた。 箱にぎゅうぎゅうに入っているため、声も出せないようだ。 「わあ!ゆっくりアリスだ」 「欲しければ1匹あげるけど?」 「ん、いらないや。僕、このれいむを育ててみる」 土れいむをお兄さんから返してもらい、コウは両手で抱えるように持った。 「それじゃあ頭をきっちり塞いだほうがいいね。暴れたら餡子が出ちゃうし、アリも寄ってきちゃうから」 「どうすればいいの?」 「小麦粉を水に溶いて、傷口に塗るといいよ。一晩もあれば再生するはずだから」 やっぱりお兄さんは凄い。ゆっくりのプロなんだ。 コウはお礼に、足元のいらない子をプレゼントした。 「じゃあ、お兄さんがたっぷり可愛がってあげるからね」 なんだか黒い笑顔だったけど、コウは気にしなかった。 「お兄さんありがとー!頑張って育てるから、あとで見せるね!楽しみにしててねー!!」 コウはお兄さんと別れると、次々に沸く好奇心を押さえながらスキップで家へと向かった。 作:アルコールランプ ♪ 後書き 私のイメージでは、ゆっくりって幻想郷のそこらへんにウヨウヨ沸いてるんです。 虫みたいな感じ。 子供の頃、トンボを引きちぎったり、コンクリートにたたきつけたり、カエルを爆破したり。 やったこと無い人のほうが少ないんじゃないかなーと思います。(特に田舎育ちの男子) 少なくとも私の周りではみんなやってました。 トンボの羽を左右に切り開く「シーチキン」という殺し方、羽を全部毟って飛べなくして橋の上から投げること。 捕まえたトンボ同士を無理矢理交尾させたり、無理矢理シッポの部分を噛み付かせて卵出させたり。 逃げるカエルに土の塊(畑から拾った)を投げつけて、当てた人が優勝とか、今思うとかなり酷いことをやっていたと思います。 でも、そのとき私や友人は「トンボって見ててムカつく。ぶっ殺してやる!」とは思ってませんでした。 面白いから、それだけの理由で悪意はなかったんですね。 羽千切ったらどうやって飛ぶのか、切り開いたらどうなるのか、たたきつけたらどうなるのか。 言ってみれば、好奇心の先走りのような、そんな感じです。 ただ純粋に、殺すの楽しかった面も無くはないですけど。 今回、ゆっくりにやっている虐待(虐殺)は私と友人が子供の頃にやった「遊び」を元にしています。 それと、実際にゆっくりがいたらこんなことしただろうなーってのも。 本当は、ゆっくり釣りもやりたかったんです。 ザリガニ釣りのように、千切ったゆっくりをエサにして巣穴からゆっくりをおびき出す釣り。 それで釣れたゆっくりをまた引きちぎって、エサにする。 楽しそうだね!ゆっくりできそうだよ!! ちなみに爆竹壺は私が小学校1年くらいのときに開発した遊びです。 使ったのはゆっくりではなく、ナメクジでした。 ナメクジを一箇所に集めて、隣に爆竹を置き、逆さにしたツボをかぶせるんです。 そんで爆破の後に壺をあけると、ナメクジがいなかったのですよ。 「あれ?」って思って壺をよく見ると、バラバラになったナメクジが壺内部にみっちり張り付いてるの。 爆破の勢いで地面にいたナメクジが吹き飛んで、ツボの内部にこびりついたワケです。 SS中の描写だとちょっと分かりにくかったかな? その後、爆竹すげー!!って話題になって、それからはカエル入れたりミミズ入れたりして友人一同で楽しみました。 子供の好奇心ってのは残虐な遊びに繋がることが多いですよね。 さすがに大人になった今では、そんなことしたくないですけどね。 それに最近では虫に触るのが苦手になってきました。 イトコの子供に「おじさん、カブトムシ持ってて!」といわれて掌に乗せられたときは鳥肌モノでした。 アブラゼミを友人一同で集め、100匹近くで収拾してたあの日はどこへやら、セミに触るのも嫌です。 子供の頃は平気だったのになあ・・・。 ゆっくりがいる世界の子供達の「遊び」が書いてみたい、そう思ってこのSSを書きました。 おわり。 作:アルコールランプ このSSに感想を付ける
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「ゆっくり」という生き物なのか食い物なのかよくわからん存在をご存知だろうか? 大抵の生き物は食い物にもなるだろう、とかそういう生易しい問題じゃないんだ。 姿かたちを端的に説明すると人間の頭部だけ独立して動いているような感じだ。しかも、何故か幻想郷の有名人の顔にそっくりだったりする。 こいつらは中身が饅頭なのに何故か喋ったり、飛び跳ねたりとフリーダムに生きているんだ。 そいつらが最近幻想郷で大量発生したことは有名な話で、畑を荒らしたり、人様の家に勝手に上がりこむことから一時は害獣扱いされて、無条件に駆逐の対象にされていたんだが、 こういう気色の悪い生き物を可愛がる虫愛づる姫君よろしくの物好きがいたり、こいつらが意外に美味であることが明らかになったり、ストレス解消に便利だったりといろんな用途が発見されたことで最近では益獣扱いされている。 こいつらの生態については前もって説明しようとすると冗長になるから、必要なときに必要なことだけを話していく事にするとして・・・とりあえず、自己紹介をさせてもらう。 俺は幻想郷で1,2を争うといっても過言ではないゆっくり愛好家だ。名前なんて気にする必要はない。 俺がどのくらいゆっくり好きかというと・・・ちょっと長くなるがのろけ話に付き合うつもりで聞いて行ってくれ。 まず西に虐待で潰されたゆっくり霊夢がいれば死体を回収しに行く。 ちなみにゆっくり霊夢ってのは黒髪と赤いリボンが目立つ博麗神社の巫女さんそっくりのゆっくりのことで、非常に頭数の多い種でもある。 え、虐待をやめさせないのか? そんな事するはずがない。そんな事したらストレス解消って存在意義を失って、また害獣として駆逐されてしまうじゃないか。 だから、ゆっくり愛好家の俺はゆっくりの幸せのために虐待を黙認しているんだよ。まあ、皆ゆっくりが好きだから大抵の場合、ちょっと愛のムチが過ぎただけなんだけどな。 たまに運悪く死にきれなかったゆっくりがいたら可哀そうだからきっちりと楽にしてやることも忘れないぞ? 東に餓えたゆっくり魔理沙がいればさっき回収した肉片を食べさせてあげる。 ゆっくり魔理沙は黒い三角帽子を被ったゆっくりで、数が多い上にふてぶてしくて腹黒くて、人里では一番嫌われている種だったりする。 共食いさせるなんて残酷だ? そんな事はないんだな、これが。こいつらは知能が低いから共食いであることに気付かない。 それに仲間の血となり肉と・・・じゃなかった。餡子となり皮となれるなら死んだゆっくりだって本望ってもんだろ? そういうわけで、ゆっくり愛好家の俺はゆっくりの幸福のためにゆっくりにゆっくりの死体を食べさせるんだ。死体じゃなくて残飯って言ったほうが適切かもしれないけどな。 北に交尾中のゆっくりアリスがいれば引っぺがして俺が代わりに最後まで犯ってあげる。 ゆっくりアリスってのはとにかく年中盛り付いている淫乱ゆっくりで、ゆっくりを増やすためだけにいるような存在だ。ちなみに何故かゆっくり魔理沙を好んで襲う。 何、わけが分からない? そういや言ってなかったっけ?ゆっくりは交尾の後の出産で命を落とすことが多いんだ。でも、産みの苦しみを味わいながら死ぬなんて可哀そうだろう? でも、俺が代わりにイかしてあげれば、すっきり出来るし、何より死ぬこともない。 たまに俺のイチモツで餡子をかき回されるのが気持ちよ過ぎたのか、そのまま逝ってしまう奴もいるけど、快感に包まれて死ねるんなら本望に違いない。 南に生まれたてのゆっくりぱちゅりーがいればすぐさま保護してしかるべき場所に預けてあげる。 自然の中で生まれたものは自然の中で生かすのが一番じゃないか? いやいや、こいつらは饅頭みたいなものだし、食欲をそそる匂いを発するくせに他の動物に対抗する武器を全く持っていないんだ。 つまり野生のままだとひたすらハンティングされる側ってことだ。それはあまりにも可哀そうだろ? 特にこのゆっくりぱちゅりーは体が弱くて、野生だとわずかな運動やストレスで死に至ることもあるから他の種以上にしっかり保護してやらなくちゃならない。 だから、加工所や稗田様のところに預けて保護してもらうのさ。そうすれば野性よりもずっと長く、安全に生きられるだろ? まあ、稗田様のところに預けたゆっくりの様子を見たことはないが、あの方のことだからきっと俺に負けず劣らずの可愛がりっぷりに違いない。 と、これだけ話せば俺がどれだけゆっくりのことが好きか分かってもらえたと思う。 でも、俺ののろけ話は108まであるんだ。つまり、まだまだ始まったばかりだ。 ・・・・・・とは言え、さすがに見ず知らずの相手に108もののろけ話を聞かせるわけにもいかないから、一つだけ取っておきの奴を聞いていってほしい。 のろけ話であると同時に自慢話でもあるんだが、実は最近オリジナルのゆっくり飼育グッズで特許を取ったんだよ。 幻想郷に特許なんて概念があるのか?なんて細かいことは気にしないでくれ。 その特許商品ってのはハムスターボールっていうハムスターを屋内で散歩させるための道具から着想を得たもので、ゆっくりボールって名前のプラスチックの球なんだ。 使い方は簡単、出産間近のゆっくりのそばでこのボールを用意して待機、子ゆっくりが生まれた瞬間にそのボールの中に閉じ込めるんだ。 ちなみにボールのサイズは生まれたてのゆっくりの平均的なサイズに合わせてある。勿論空気穴もストローが通るくらいのを14箇所ほど空けてある。 あ、そうそう・・・ゆっくりの産まれ方には果実みたいに親から生えた茎になるタイプと卵生タイプ、妊娠タイプの三種類があるが、どのタイプで産まれるにしても捕獲できるようになったら出来るだけすぐにボールに入れるのが望ましい。 次に、できるだけ素早く他の家族ゆっくりを原形をとどめない程度に破壊する。 一見可哀そうに見えるが、これもゆっくりのためなんだ。 ボールに閉じ込められたゆっくりが他のゆっくりを見てしまったら、自分だけ何かおかしいことに気付いてしまうだろ? そうなったらアイデンティティが崩壊して心が壊れてしまうかもしれない。そうならないために他の家族ゆっくりを破壊するんだ。 勿論、潰したゆっくりは子ゆっくりに食べさせよう。 こうして子供を無事出産して役目を全うした親ゆっくりは子供の血肉、じゃなくて餡皮となって子ゆっくりとともに生きていくんだ。なんて美しい!! ああ、そうそう・・・最後になったけど、このボールにはどんな効能があるのか説明させてもらうぞ。 こいつには10以上ものゆっくりに幸せを提供するための素敵な効能がついているんだ。 1つ目。子ゆっくりを大きくさせない機能がある。 人間でもそうだけどさ、大人になるってことは社会の荒波にもまれて汚れていくことだと思うんだよ。 でもさ、こんなに可愛いゆっくり達がそんな風に汚れてしまうなんて可哀そうだろ? で、ゆっくりが大人になるためには身体的な成長と、中身つまり餡子の増量が不可欠なはず。 ということは、身体の成長を抑えれば容積も抑えられ、おのずと大人になることが出来なくなるはずじゃないか? このゆっくりボールの当初の目的はこの成長阻害・・・いや、ずっと子供のままゆっくりさせてあげることにあると言っても過言ではない。 勿論、効果は抜群だった。こいつにいれたゆっくりは皆、純真無垢な子供のままだったよ。 2つ目。野生種はしない(と思われる)排泄を促す。 こいつは俺もびっくりしたことなんだが、野生種は食ったものがどうなるのか全く解明されていない。しかし、排泄をしないならどう考えても生涯に食する量と増加する体積が一致しない。 こんな常識的にありえない状態が健康なわけがないと思わないか?でも、ボールに入れたゆっくりは空気穴を使って餡子に似たウンコを排泄する。 つまり、野生種の永遠の悩みである死ぬまで続く便秘か解消されるってわけだ。 え、成長が阻害されたせいで膨張した中身が飛び出しただけじゃないかって? はははははは、そんなわけないじゃないか。ゆっくり愛好家の俺が言うんだから間違いない! 3つ目。ゆっくりが狭い場所に挟まらないようにする。 これは何気に重要なんだ。狭い場所に挟まって皮が剥けて中身があふれ出したとか、狭い場所に落下して皮がずる剥けになったり、挟まって動けなくなったところを外敵に襲われたってのは幼いゆっくりの死亡原因としてはかなりの上位に食い込む。 でも、こいつを装着していればプラスチックが皮を守ってくれるし、そもそも挟まって動けなくなるような場所に嵌り込むようなことがなくなる。 まあ、最初から挟まってるようなものだから当然といえば当然かもしれないけどな。 4つ目。むやみに飛び回らなくなる。 飼っているゆっくりが飛び跳ねて大事なものを壊してしまったなんて話はよく聞くが、こいつの中に入っていれば飛び跳ねるなんてことはまず出来ない。 せいぜい転がって移動することくらいだが、完全に押さえつけられている状態だから自分の意思で自由に転がすことは出来ない。 つまり、自分の意思では飛び跳ねるどころか、転がり回ることすら満足に出来ないってわけさ。 これならゆっくりが勝手に家のものを壊すなんてことはなくなるだろ? 5つ目。他人のものを勝手に食べなくなる。 というか、食べようがなくなるだけなんだけどな。まず動けないわけだし。 ストローサイズの空気穴から与えられた食べ物しか食べられないんだから、他人の畑の作物を荒らすなんてことは当然なくなるよな? すると、畑を荒らされてぶち切れた農家のおっさんに潰されるなんて悲劇は起きなくなる。 6つ目。大きな声で「ゆっくりしていってね!」などと叫ばなくなる。 「ゆっくりしていってね!」というのはゆっくり達が頻繁に口にする言葉なんだが、こいつが朝一番の鶏の鳴き声にも負けないくらいやかましいんだ。 でも、このボールに入った状態であれば全身を完全に押さえつけられているわけだから、当然口だって満足に動かせない。 その上、プラスチックケースで声が大分遮断されるから、外部に漏れるのは「うっうりいえいっええ」とか言うわけの分からん呻き声だけ。 これなら近所迷惑になることもないし、下手に泣き声を上げて仲間を呼び寄せてしまうような事態も回避できる。 それにゆっくり魔理沙の場合、生意気なことを言わなくなるから可愛さ3割増しと良いこと尽くめだ。 7つ目。他人に勝手に殺されなくなる。 野生種がプラスチックケースに入っていることなんてありえないんだから当然だよな? 8つ目。坂から転げ落ちても大丈夫。 ゆっくりってのは鈍くさいから、何かにつけて坂から転げ落ちるんだよ。 現に、このボールに入れたゆっくりも散歩させてやっている時に幾度となく転げ落ちたもんだ。 跳ねるなり、踏ん張るなりすればいいのに。 そんな鈍くさいこいつらだが、プラスチックボールがあれば転がったときに皮が剥けることもないし、硬いものにぶつかったときに中身をぶちまけることもなくなる。 9つ目。捕食者に襲われても安心。 さっきも言ったようにこいつらはとにかく鈍くさいからさ、外敵に襲われても逃げるってことをしないんだよ。 実際、俺がこのボールに入れて飼っていたゆっくりは外敵に襲われそうになっても全く逃げようとしなかった。 跳ねるなり、転がるなり、狭い穴に逃げ込むなりすりゃいいのにな。 でも、このボールの中にいればゆっくりゃやゆフランに襲われた程度なら命を落とさずに済む。 あ、ゆっくりゃとゆフランってのはゆっくりを捕食するゆっくりのことだ。 10つ目。遊び道具として最適。 この中にいる限りゆっくり達は普段以上にゆっくりしているから、少し悪戯をしても文句一つ言わない。 それどころか、大抵のゆっくりは歓喜の涙を流しながら「おえあうっうりえいあいお~」とか「あええ~」とかものすごく楽しそうな声で鳴きまくるくらいだ。 それに、このプラスチックボールはなかなか頑丈でな、大人の力で蹴っても至近距離で壁にぶつかりでもしない限りなかなか壊れない。 おかげで、普段ゆっくりとは出来ないようなサッカーみたいな激しい遊びだって問題なく出来るんだ。凄いだろ? 11つ目。ゆっくりアリスにレイプされない。あるいはしない。 これもゆっくりの命を守る上では必要不可欠な要素だ。何せゆっくりアリスによるレイプはゆっくり魔理沙の死因のTOP3に入るからな。 だけど、このボールの中にいれば前戯がちゃんと出来ないし、種付けだって極めて困難だ。だからアリスに犯し殺されることがなくなるんだよ。 でも、このボールの凄いところはそれだけじゃない。ゆっくりアリスもゆっくり魔理沙とずっと一緒にいられるから大喜びするんだ。 最初に実験したゆっくりアリスはずっと一緒にいられるのがよほど嬉しかったのか、3日間くらいボールに体をこすりつけ続けていたな。 それから「何で子供が生まsqんくせgkうぇdgyrdhんcmbwmrdんcs」と狂喜しながら逝ったよ。 嬉しすぎて死ぬゆっくりなんてあの時初めて見たよ・・・。あの時ほどゆっくりボールを作ってよかったと思った日はないね。 12つ目。機能拡張キットや工夫次第で遊びが更に広がる。 簡単なところだと紐をつけてハンマー投げができるな。プラスチックケースの破損が心配ならガムテープをしっかり巻きつけておけば良い。 他にはボールをムチでたたいて回転させ続ける朝鮮式の独楽として使用することも出来る。 ・・・いや、無限大の応用こそゆっくりボールの肝だから、あまりあれこれ話しすぎると面白みがなくなってしまうな。 これ以外の応用は自分で探してみてくれると嬉しい。 ゆっくり好きの、ゆっくり好きによる、ゆっくり好きのための至高のアイテムゆっくりボールは外界価格で980円。みんな、気が向いたら買ってくれ!! ‐‐‐‐‐‐‐‐あとがき‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ ホスト規制が悲しくて、書けもしないSS?を書いてみた。 が、あまりに誤字多かったのでちょいと訂正して再うp。 今後はきちんと推敲しようと思いました。 ゆっくりが可愛くて仕方がない俺にはゆっくり虐待なんて全く理解できないよ・・・! 俺の想像力じゃ、よりベターにゆっくりボールを用いたゆっくりの可愛がり方が思いつかないんだ。 何か面白い遊びはないものか? このSSに感想を付ける
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「おにいさん!れいむたちのおしごとのおてつだいをさせてね!」 「・・・・・・は?」 ある初夏の晴れた日のこと。 俺はいつも通り田吾作さんの畑のわりと近くにある自分の畑で仕事をしていた。 すると、人里のゆっくり対策の進んだ最近では珍しい山から下りてきたゆっくりの一家がやって来て、そんな事を言いやがった。 他所の地域では虫取りや他の害獣を追い払うのに役立てることもあるらしいが、ここではそんな習慣はない。 そもそも、人間の役に立とうという殊勝なゆっくり自体が極めてまれな存在だ。 「・・・農作業の手伝いって、お前らに何が出来るんだ?」 「れいむたちはむしさんやはっぱさんをむーしゃむーしゃできるよ!」 「野菜と雑草の区別はつくのか?」 「あたりまえなんだぜ!」 そう言って、ゆっくり一家の両親はゆへんと偉そうに胸(下あご?)を張った。 両親はれいむ種とまりさ種で子どもは親と同じ種族の赤ん坊サイズのものが2匹ずつ。 いわゆるオーソドックスファミリーだ。 「子どもが勝手に食ったりしないだろうな?」 「「「「しょんなことちなにゃいよ、ぴゅんぴゅん!」」」」 俺の言葉に反応した子ども達は反論の後、一斉に頬を膨らませた。 さて、どうしたものか・・・。 さっきの応答や言動・態度を見る限りにおいて、ゲスっぽい気配は無い。 それどころか家族揃ってゆっくりにしてはかなり聡明なようだ。 「ん~・・・」 「おにーさぁん・・・おねがいだよ!」 「・・・で、何が目当てなんだ?」 「ゆゆっ!・・・すごいぜ、れいむ!まりさたちのもくてきはばればれだぜ!」 「ほんとうだね!さすがにんげんさんだね!」 「「「「ゆっきゅちしゅごいよ!」」」」 珍しく殊勝な奴らだと思えばやっぱり見返り目当てだったが、それでも勝手に畑の野菜を食い漁るよりはずっと賢明だろう。 物珍しさにも後押しされ、俺は大根4本と交換で一家の申し出を受け入れることにしてみた。 野菜と雑草の区別が出来ていることを確認してから、柵の中に招き入れ、一家のためにそこそこの大きさの小屋と水飲み場を設置してやる。 こうして、俺とゆっくり一家の共同作業が始まった。 結論から言えばこの一家はいつも俺の予想をいい方向に裏切ってくれた。 ちゃんと雑草と野菜を区別して雑草だけを抜き取ってくれるし、虫の駆除もほぼ完璧。 流石にそれ以上のことは殆ど出来なかったが、虫害をどうにかしてくれるだけでも本当に助かる。 一度だけ子まりさが野菜に口をつけようとした事もあったが、その時には自分の子どもをちゃんと叱りつけていた。 なるほど、これだけ出来のよい個体であればゆっくりであってもそれなりに役に立つ。 それに・・・・・・ 「「ゆゆっ!おにーさん、ゆっくりしていってね!」」 「「「「ゆっくちちていってね!」」」」 「仕事があるからゆっくり出来ないっつーの」 「「じゃあゆっくりおしごとがんばってね!」」 「「「「ゆっくちがんばってね!」」」」 何より、間違ってもおうち宣言のようなこっちの神経を逆なでするようなことは言わなかった。 それどころか、仕事の合間の休憩時間の話し相手としても活躍してくれた。 柵では対処しきれない鳥類が作物を荒らそうとしたときには大声で俺を呼んだ。 とにかく、ゆっくり一家は十分すぎるほどに役に立ってくれた。 「れいむぅ・・・とってもゆっくりしてるね~」 「そうだね、まりさ」 「つぎのおにさんはれいむだよ!」 「「「ゆっくちにげるよ!」」」 また、柵と小屋に守られた畑で安全に食料を確保できるこの状況は一家にとって、とてもゆっくりできる環境だったらしい。 子ども達は赤ゆっくりから子ゆっくりへと成長し、餌を食べ終えた後に畑の周辺でよく鬼ごっこをしていた。 好奇心旺盛で俺に人間のことをあれこれ聞いてきたりもした。 「おにーしゃん!どうちでにんげんさんはむしさんをたべないの?」 「いや、食べられることは食べられるし、食べることもあるぞ」 「でも、おにーしゃんはたべないね!」 「虫はなぁ・・・人間には小さすぎるんだよ。あと、見た目がグロい」 「どうちて?おいちいのに?」 「人間の好みじゃないんだよ。さて、仕事に戻るからもう話しかけんなよ?」 「「「「ゆっくちりかいちたよ!」」」」 と、まあ、こんな具合に鬱陶しくも愛嬌のある奴らだった。 たまに引っ掴んで持ち上げてやるだけで「おしょらをとんでりゅみたーい!」と大喜びするので、散歩いらずな分犬よりも手間がかからない。 「おにーしゃん!いもうとたちにもおしょらちてあげてね!」 「「れーみゅもおしょらとびちゃいよ!」」 「「まりしゃもぶれいじんぐしゅたーちちゃいよ!」」 そうそう、そういえば相当ゆっくり出来たせいか、夏の間に家族が4匹ほど増えていたりする。 れいむ種とまりさ種が2匹ずつ。まだ生まれて間もない赤ん坊だが、にんっしんっで産まれたので結構大きい。 1回のにんっしんっで産まれたのは2匹で両種が1匹ずつ。 まずはれいむが産み、その次にまりさが産んだ。 そんなわけでいつの間にかこの一家は両親2匹に子ども8匹と言うかなりの大家族になっていた。 勿論、新しく出来た家族も親や俺の言うことをきちんと守って、虫や雑草を駆除してくれた。 おかげさまで、今年はいつもよりもずっと収穫が多かった。 そして収穫を終えた日の夜。 翌朝には一家に約束の大根を渡し、野に返してやらねばならない。 俺は前々から読者にも伏線すら提示せずに考えていたある計画を実行に移した。 そろーりそろーりと連中の小屋に忍び込むと、夏に生まれた子どもを各種族1匹ずつ捕まえ、いったん自分の部屋へ戻った。 それから、今までは常時開放されていた小屋の出入り口に扉を取り付け、しっかりと施錠も出来るようにした。 仕上げに、残った家族をこいつらの本能に刻み込まれた言葉で叩き起こした。 「ゆっくりしていってね!」 「「ゆゆっ!ゆっくりしていってね!」」 「「「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」」」 いとも容易く目を覚ました一家はしばらくのん気に「おにーさん、どうしたの?」などと言っていた。 が、やがて家族が減っていることに気づくと顔を真っ青にして右往左往し始めた。 「おにーさん!れいむのおちびちゃんがいないよおおおおお!?」 「そりゃそうだ。俺が預かったんだからな」 「どうしてそんなことするんだぜ!?」 「それはね!お前達との取引を無効にしたいからだよ!」 「「「「「「「「ゆゆっ!?」」」」」」」」 俺の突然の宣言に「びっくりー!」とでも言わんばかりに目を見開いて驚くゆっくり一家。 今までそれなりに仲良くしてきただけに、その信頼の全てを根底から覆す言葉が信じられないのだろう。 その証拠に、しばらく唖然していたれいむは我にかえるや否や、頬を膨らませてこう言った。 「おにーさん、じょうだんはやめてね!ゆっくりできないよ、ぷんぷん!」 初めて俺に出会った日から数えると、なんと100日以上もの付き合いがあるのだ。 流石に俺がそんなことをするとは思えない、或いは思いたくないらしい。 しかし、残念ながら全て事実であり、目をそらしても変わることの無い真実。 そのことをれいむ達に理解してもらうために、俺は近くにいた、親に連れられてここに来た1匹の子まりさを踏み潰してやった。 「「「「「・・・・・・ゆゆっ!?」」」」」 「これで分かっただろ?俺は本気だよ」 「ゆああああああああああああああああああああ!?」 「でいぶのおぢびぢゃんがあああああああああああああ!?」 「「「「「ばりぢゃあああああああああああああ!?」」」」」 家族が1匹踏み潰されたことでようやく事態の深刻さを認識した一家は恐怖と絶望に顔を歪め、彼女らの双眸からは涙が溢れ出している。 が、泣き止むまで待つのも億劫なので「ゆっくりしていってね!」を利用して半ば強引に泣き止ませると、即座に用件を伝えた。 「さっき言ったとおり大根はやらん。嫌なら全員殺す・・・理解したか?」 「「ゆぐっ・・・・・・ゆっくりりかいしたよ!」」 「「「ゆえーん!」」」 「おにーしゃんひどいよ!やくそくをやぶりゅなんてゆっくちしてないよ!」 「しょーだよ!ゆっくちできないよ!」 残り7匹のうち、5匹は自分の立場をしっかりと弁えてくれたようだが、2匹だけそうでないものがいた。 1匹は両親に連れられてきた子まりさで、もう一匹は夏に生まれた子まりさだった。 彼女らは「ゆっくりさせてね!」などとのたまいながら、成体一歩手前の体を思いっきり跳躍させて俺に体当たりを仕掛けてくる。 が、悲しいほどに痛くもかゆくもないのでしばらく黙ってその攻撃を喰らってやる。 最初はいい気になって「ゆっくりこうさんしてね!」などと言っていたが、やがて息が上がり、冷静になった頃には己の無力を理解した。 「「どほぢでじぇんじぇんぎがにゃいのおおおおおお!?」」 泣き叫ぶ2匹の呼吸は荒く、また体当たりを繰り返したせいでところどころ青あざが出来ていた。 ぼろぼろになりながら、己の無力をかみ締める姿は可哀想でどこか哀れみを誘うものがあるが、容赦することなくお仕置きを加えてやった。 「うりゃ!」 「―――――――――――――ッ!!?」 サミング、いわゆる目潰しを食らわして子まりさの目玉を両方とも抉り出すと、悲鳴にもならない金切り声が子多重に響き渡った。 両親はガタガタと震えながらも「やめてあげてね!いたがってるよ!」と俺に許しを請う。 その傍では素直に言う事を聞いた殊勝な子ども達が両親にへばりついて泣きながら、歯をガチガチと鳴らして震えている。 そして、当の子まりさは目のあった場所から餡子を漏らしながら床を転げまわっていた。 「ゆっくりにげりゅよ!そろーりそろーり・・・」 「ハイ残念、もう見つかった!」 「ゆゆっ!?やめてね!こっちこないでね!?」 子まりさの惨状を目の当たりにした子れいむもまた涙で頬をぬらしながら、必死に逃げ回っていた。 しかし、普段は開けっ放しの出入り口は閉まっており、この小屋には隠れられるような場所も無く、逃げ場所なんて何処にもなかった。 それでも子れいむは俺から逃げ続けた。俺がわざと泳がせていることにも気づかずに一心不乱に逃げ続けた。 そして、疲労が限界に達し、一歩も動くことが出来なくなった瞬間に彼女は俺によって光を奪われた。 俺は一家に食料の代わりに安全に越冬できる巣、以前から使用していたあの小屋を貸してやることにした。 ただし、扉はしっかりと施錠されているし、他の場所から外に出ることもできない。 勿論、食料をやるつもりは微塵も無いので、このままでは何も食べることは出来ず、飢え死にするのを待つだけである。 「そこで、赤ゆっくりのできる蔦やそれに成っている赤ゆっくりと大根を交換してやろうと思う。嫌なら飢えて死ね!」 「ゆゆっ!・・・お、おにーさんはあがぢゃんをあづめでどうずるの・・・?」 「いい質問だ。俺の家に連れて行ったお前らの子どもに食べさせる。ちなみにそれ以外の餌は与えない」 「「「そ、そんなひどいことちないでよ!?ゆっくちできないよ!」」」 自分たちの立場を理解しているとは言え、流石にこの提案ばかりは呑めないらしい。 必死の形相で抗議し、何とか俺から妥協を得ようと一生懸命媚びへつらったり、泣き落とそうとしたりしている。 が、やっぱり何の意味も無い。 「お仕置きされたいか?」 「「ゆゆっ!おしおきはやだよ!ゆっくりできないよ!?」」 「「「おしおきごわいよぉ~!」」」 「「ゆぎぃ!?お、おぢごぎいやあああああああああああああああああ!?」」 どんなに頑張ってもたった一言ですべてが消し飛んでしまう。 両親は子をかばい、子は両親にすがりつき、既にお仕置きを受けたものは気が狂ったかのように喚いていた。 そんなどうしようもなく無力な一家に向かって更に話を続ける。 「ちなみに家のほうの子どもの食事は君たちと交換した蔦や赤ちゃんだけだからね。ゆっくり理解しろよ?」 「「ゆぐっ・・・ゆ、ゆっくりりかいしたよ・・・」」 それから交換レートについても話し合い、蔦1本=大根の葉っぱ10g,赤ゆ1匹=大根の葉っぱ3gという相場に決定した。 ちなみに、うちで取れる大根1本の重さが1000gの可食部分が900g程度であるから蔦1本に赤ゆが5匹なると仮定して1本=25gである。 つまり、40本の蔦を手渡してようやく1kgの食料を得られるのだ。 一家はその分量を示されたときに少なすぎるとゴネたが、手近な成体間近の子れいむにお仕置きをしてやったら快く同意してくれた。 植物型であっても自分が生きたまま子どもを産めるだけの大きさに達しているのは両親と最初からいた4匹の計6匹。 ただし、子どものほうは蔦を3本も生やせば命に関わるだろうし、連続出産なんてとてもじゃないが出来ない。 勿論、いくら十分成熟している両親と言えど5本以上蔦を生やすと流石に危ないのは言うまでもない。 現在生き残っているゆっくりは7匹。 両親のれいむとまりさ、成体間近の子れいむが2匹と子まりさが1匹。 子ども達に関しては1匹のれいむを除いて全員お仕置きによって目を失ってしまっている。 そして、夏に生まれた子れいむと子まりさが1匹ずつ。 こちらは子まりさの方だけがお仕置きによって目を失ってしまっていた。 「ゆっぐ・・・ほどぢでごんなごどになっだのぉ・・・」 「ゆっぐぢでぎないよぉ~・・・」 「「ゆっぐちちだいよ~・・・」」 「くらいよ~・・・ゆっくちでいないよぉ・・・」 そんな絶望的な境遇の中で苦しみにあえぐ一家を眺めながら俺は小屋の出入り口へと向かっていく。 そして、たった一つだけ希望を与えて小屋を後にした。 「俺の部屋の子ども達は来年の農作業用だから餌以外は最高の環境でゆっくりしているぞ」 れいむとまりさは本当に賢い個体だった。 男の言葉を聞いて、意味するところを、男の意図をきわめて正確に把握していた。 また、ゆっくり特有の希望的観測をせずに自分たちの末路を理解した。 「れいむ・・・ごべんね。まりさがにんげんさんのおでつだいしようなんていったせいで・・・」 「ちがうよ、まりさ!れいむもさんせいしたんだよ!」 「「「ゆっくりできないよぉ~」」」 「もうやだ、おうちかえる!」 「おちびちゃんたち、ゆっくりがまんしてね!はるになったらおうちにかえれるよ!」 勿論、嘘だ。男は「部屋の子ども達は来年の農作業用」だと言っていた。 つまり、来年には子ども達がこの小屋で寝泊りをして虫や雑草の駆除に従事することになる。 その時、自分たちが生きていると余計なことを吹き込んでしまう恐れがある。 「きょうはゆっくりやすもうね!」 「あしたになったらきっとおにーさんもゆっくりできるようになってるよ!」 「「「「「ゆっくりりかいしたよ・・・」」」」」 しかし、その事実を伝えるのはあまりに酷だと判断した両親は何も言わず、ゆっくりすることを提案した。 両親の言うことを聞いて痛みや恐怖を堪えながら、そしてそれらから逃げるように子ども達は眠りについた。 彼女達はそれがこの世界で最後のゆっくりになることを知るはずがなかった。 「そろーりそろーり・・・れいむ、ゆっせーので、でいくよ?」 「ゆっくりりかいしたよ。ゆっせのーで」 あっという間に眠りについた子ども達を起こさないように静かに傍まで這いずって行った両親は掛け声と同時に子れいむに噛み付いた。 その子れいむは夏に生まれたばかりの子どもで、まだ小さく成体2匹にいきなり噛みつかれてはひとたまりも無い。 一瞬にして大量の餡子を失った子れいむは断末魔を残して終らないゆっくりへと旅立って行った。 「・・・もっと、ゆっくちちたかったよ・・・」 「「む~しゃむ~しゃ・・・ごべんねぇ・・・」」 そうして子れいむの亡骸を食べ終えた両親は次に両目を失った子まりさを食い殺した。 言うまでも無いことだが、出来ればこんなことはしたくないのだろう。 悲しみの色に染まった双眸からは涙が溢れ出し、水に弱い頬をふやけさせてしまっている。 夏に生まれた子まりさも同じように殺すと、その亡骸を両目を失った成体間近の子まりさ2匹の口にねじ込んだ。 舌を使って器用に口の奥へと運び、何とかこぼれ落ちないようにする。 その後、両親は我が子に頬をこすりつけていわゆるゆっくりにとっての交尾“すっきりー”をした。 途中で子どもが目を覚まし、「ゆっくりできないよー!」と泣いていたが、それでも無理矢理最後までやり遂げた。 「ごべんねぇ・・・」 「「も、もっと、ゆっくちしたかったよぉ・・・」」 「おぢびぢゃんだち・・・ごべんねぇ」 翌朝、唯一生き残った成体間近の子れいむが目を覚ましたとき、部屋には3本の蔦を頭に生やした両親しかいなかった。 それ以外のものは見慣れた壁と床と、わずかばかりの黒いかたまり、そして、10本の蔦を生やしている黒ずんだ大きな塊だけ。 朝早くにやってきた男は、以前のようにゆっくりしていることは無く、その蔦を全部引っこ抜くと足早に小屋を後にした。 「ねぇ、おかーさん・・・いもうとたちは?」 「れいむ、ゆっくりきいてね!」 「ゆっ・・・ゆっくりきくよ!」 神妙な面持ちの親れいむのただならぬ気配を察知した子れいむも真剣な表情になる。 「れいむのいもうとたちはね・・・・・・おかーさんたちがころしたんだよ!」 「ゆゆっ!?う、うそいわないでね!おこるよ、ぷんぷん!」 「ほんとうなんだぜ。いっぱいいてもごはんがへるだけだからころしたんだぜ!」 「ど、どほぢでぞんなごどずるのおおおおおおおおおお!?」 その残酷な言葉を聞かされた子れいむは泣きじゃくり、ぴょんぴょんと飛び跳ねながら両親に怒りをぶつける。 が、両親は「しかたなかったんだぜ!」とか「れいむのためだよ!」などと言うばかりで、何一つ納得のいく言葉を口にしてくれない。 やがて我慢の限界に達した子れいむは親れいむに飛び掛るがあっさりと弾き飛ばされ、まりさに取り押さえられてしまった。 「おがーざんのばがああああああああ!?」 「しかたないんだよ!こうしないとゆっくりできなくなっちゃうんだよ!」 「ぞんなのぢらないよ゛!ゆっぐぢでぎないおがあざんなんでゆっぐぢぢね!!」 厳しい自然の中で仲間を失った経験の無いこの子れいむにとって、生存のためでも仲間を切り捨てるなんてことは考えられない。 だから、親の気持ちも知らずに泣きつかれて眠るまでただひたすら呪詛を吐き続けた。 「ゆっくりしね・・・だって」 「おお、こわいこわい」 本来ならふてぶてしい表情で言うはずのこの言葉を、今ばかりは悲しみに満ちた表情で口走る。 ここにいてもいつか殺されるだけなら、いつか脱走を試みなければならない。 そして、そのためにはまず生き延びなくてはならないし、脱走の際に足手まといにしかならないものを生かしても仕方が無い。 そんな個体はよしんば逃げ延びても冬の野原や森で生き残ることなどまず不可能なのだから。 ならばさっさと間引いて一番逃げ延びる可能性のあるれいむだけでも救いたい。 また、きちんと蔦を提供することで、男の部屋の子ども達も何とか生き延びることができるかもしれない。 それが子どもが決して知ることの無い両親の想いだった。 頬を涙でぬらしながらも安らかな表情で眠る我が子の傍で2匹は再び6度に渡ってすっきりを繰り返した。 それが終わるとタイミング良く男がやって来て、さっきの分の餌(大根の葉っぱ650g)を床に置き、再び蔦を引き抜いていった。 結論から言えば両親は、餌には一切手をつけずに命を削って20本近い蔦を提供したが、子どもを逃がす機会を手にすることは出来なかった。 子れいむは両親の本心を理解しせず、度重なるすっきりで疲弊しているところを彼女に襲われたのが両親の死因となった。 小屋に残されたのは世間知らずで、両親ほど賢くもなかった1匹の成体間近の子れいむとおよそ1000g分の大根。 3ヶ月ばかり続く長い冬の間、最初の数日は両親の教えに反発するように適量以上を食べ続け、その後数日は妙な臭いを発する両親の死体で飢えをしのいだ。 が、やがてそれも尽き、2,3週間かけて子れいむはゆっくりゆっくりと飢えて、やせ衰えて、死んでいった。 「もっと・・・ゆっくり、したかったよ・・・」 おわり 善良なゆっくりは心理的な抵抗とは別の次元でも虐待しにくい気がする。 ちなみに、男の部屋の子ゆっくりは男が餌を管理してくれたおかげで無事生き延びました。 で、畑仕事を手伝いながら、10匹の子ゆっくりを授かり、冬には(以下略 このSSに感想を付ける
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私はこのカフェの店主 客からは店長と呼ばれている。 私は今『食材』を取りに行っている所である。 食材といっても広大な野菜畑があるわけでもなく、糞尿のにおいがする家畜小屋に数十頭の豚や鶏がいるわけでもない。 あるのは店の奥にある一部屋と、ゆっくりのつがいが数組いるのみである。 扉を開き、店の奥に入るとゆっくりたちの寝息が聞こえてきた。 ゆっくりたちはどれも銅ゆっくりである。 この街の条例では銀バッチ以上のゆっくりの売買行為は厳しく制限されている。 特に食品として売買するのはどんな理由であれ銅バッチまでとされている。 特に、金ゆっくりを虐待した時などは自分の所有物であろうと罰金だけでは済まない場合がある。 その為、銀バッチ以上を注文したい客がいても、二束三文で購入した銅ゆっくり産を出さざるを得ないのである。 れいむ「すーやすーや・・・ゆっくり生まれてきてねおちびちゃんたち・・・」 まりさ「ゆっくりまもってあげるのぜ」 ゆっくりたちはつがいごとに仕切られた空間に入れられている。 周りに他のゆっくりが見えると色々と面倒な問題が生じるが、声だけならば徒党を組もうなどという考えは起きないらしい。 むしろ、今から起こる『収穫作業』の悲鳴で逃げようなどという気を削いでくれればそれでいい。 店長「うんうん 愛されて生まれてくるゆっくりってのはまろやかさがいいんだよね」 そう言いながら中華なべの形をしている竹かごをかまえ、一組目のつがいに手をのばそうとする。 それはさっき寝言で会話をしていた器用なまりさとれいむである。 店長「ひぃ ふぅ みぃ・・・今日は5匹か うん れいむ二匹にまりさ三匹か」 手をのばして一匹目の赤ゆっくりを引きちぎろうとした時、れいむは目をさました。 れいむ「すーや す、ゆ?頭がいたいよ?ゆゆ? ぢょっとぉぉぉぉぉおおおおなにじでるの???? やべでね゛!!れいぶのあかちゃんいやがっでるでじょ゛ぉぉぉぉぉ」 まりさ「ゆぅ・・・ゆゆ?店長!?やめるのぜ!!その汚い手を離すのぜ!!」 頭に赤ゆっくりがいて動けないれいむの大声を聞いて、まりさが起きた。 起きた瞬間、状況を判断したまりさは俺の手目掛けて突進してきた。 しかし一匹目をちぎり終わっていた俺の手に届くことなく、れいむに向かって体当たりをするかっこうになってしまった。 ブチィ!! れいむ「あ゛あ゛あ゛あ゛あがじゃんがぁ!?ゆぶぇっぷ!! ま゛りさな゛にじでる゛の゛ぉ!さっさとあがちゃん取り戻してね!!」 まりさ「ゆ゛?ゆゆ?れいむ!殴らないでね!?あかちゃんが揺れてあぶないよ!」 れいむ「あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛がちゃん ゆ゛っぐしてね!」 さすがは銅ゆっくりたち もう目先のことしか見えないらしい。 赤ゆ「ゆゆ?おしょらをとんじぇるみちゃ! いちぇ!」 茎から切り離されたせいか、赤ゆっくりは覚醒したみたいだ。 私はゆっくりを大切にかつ事務的に竹かごの中に投げ入れた。 竹かごの中にはふかふかの毛布と少しばかりの蜂蜜が入っている。 赤ゆ「ゆ?おかぁしゃんは? ここどょこ?ゆっくちできないょ! ゅびぇぇぇん!」 蜂蜜との距離が少し遠いせいか、蜂蜜よりも親がいないという身の危険のほうが勝っているようだ れいむ「そうだ!あがじゃんが!!店長!ゆっくり赤ちゃんを返してね! 返したらあまあまいっぱいもってきてしんでね!」 まりさ「さっさとおちびを返すのぜ!さっさとあまあまをもってくるのぜ!」 ここでイラっときて殴ることで上下関係を作ってしまうのは愚の骨頂である。 この夫婦にはできるだけ長く生殖活動を続けてもらわなければならない。 その為には生殖したら必ず奪われるという絶望をまだ植えつけてはならないのである。 ブチ!! れいむ「いだぁぁぁぁ!] まりさ「やめるのぜ!」 れいむ「ゆびゅぁ! まりざなに゛じでる゛の゛ぉ゛ぉ゛!?」 まりさ「ゆ!やめるのぜ!れいむ叩かないでね!!」 赤ゆ「ゅ!?おしょらをとんじぇるみ! いちぇ!」 その後もゆっくりの抵抗を無視しながらもくもくと収穫作業を続けていく 赤ゆをひきちぎる ↓ れいむが泣き喚き、まりさが突進してきてれいむにぶつかる。 ↓ けんかをする ↓ 赤ゆの泣き声が竹かごから聞こえる ↓ 赤ゆを返せ!あまあまもってこい!ゆっくりしんでね! ↓ 新しい赤ゆをひきちぎる の繰り返しで5匹目を引きちぎる時など、まりさとれいむは顔が涙でぐしゃぐしゃ、 体中アザだらけである。 れいむ「最後のこの子だけでも守るよ!まりさ絶対守ってね!!」 まりさ「ゆゆ!わかったよ!おい人間!やめるのぜ!」 最後の意地だろうか、れいむの前でまりさは体を膨らませて威嚇している。 前に立たれたんじゃ仕方ない。私はビンタをもって彼の健闘に報いてやった。 まりさ「ぶゅぶぇ!」 二転三転した後、まりさは壁にぶつかって少し餡子を吐きぐったりした。 店長「さ、ゆっくり収穫させてもらうよ」 れいむ「まりざぁぁ! ゆ!やややべでぇぇえぇ!ごっぢにごないでぇぇ!!!」 自分より運動能力の高いまりさ種が負けたことで戦意を喪失したれいむは隅のほうに後ずさりしようとする。 しかし、最初から端っこにいるため、距離が離れることは無い。 れいむ「な゛ん゛でごんな゛ごとするのぉ゛ぉ゛」 ブチィ! れいむ「い゛や゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛」 ブチィ! れいむ「い゛だぁ゛ぁ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ま゛りさぁぁぁぁどうにがじでぇぇ」 まりさ「ゆ・・・ゆ・・・」 最後の一匹を収穫し終え、ついでに赤ゆの食料となる茎も回収した。 れいむはまりさを必死に呼ぼうとするが、 まりさはまりさでぐったりして目が虚ろであった。 赤ゆを守れなかった喪失感、敗北感に打ちひしがれており、まともな返事をすることができなかった。 赤ゆ「ゆ!おしょらを いちぇ!! ゆ?おかあしゃんどこにいりゅの?れいむにすーりすーりしちぇね!」 かごの中には新鮮な赤ゆが5匹入っている。 どれもあの『きょうしつ』で育てれば銀バッチは確実に取れそうなほどわんぱくな赤ゆたちである。 しかし、この赤ゆたちがきょうしつに行くことはない。 今、新規に赤ゆのレンタルを望んでいる人がいないからである。 先に収穫され泣きつかれた赤ゆは、新しい姉妹が来るたびにまた泣き喚いていた。 5匹あつまって蜂蜜をちびちびと舐めてはいるが、母ゆっくりがいない為 「おかあしゃん・・・」「すーりすーりしちぇほしぃ」 と口々につぶやいては互いに身を寄せ合ってすすり泣いている。 店長「さ、明日もがんばってゆっくり子ゆっくりをつくってくれよ」 れいむ「あ゛がぢゃんをがえ゛ぜぇ゛ぇ゛ぇ゛ じね゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛」 まりさ「あ、 あかちゃん・・・ ゆ・・・っぐ・・・」 今も泣き喚いて罵詈雑言を吐いている母だったれいむと すすり泣いているまりさを尻目に次の収穫に向かった。 店長「つぎはアリスとまりさのつがいの番だな」 私は次の、というか仕切り一枚隣のゆっくりの収穫をはじめた。 そこにいたのはさっきのつがいの悲鳴を震えながらずっと聞いていた二匹のゆっくりであった。 アリス「や、やめて 『しゅうかく』なんてとかいはじゃないわ!」 まりさ「ま、まりさの鉄拳を食らう前に帰るのぜ!」 アリスはアリス種とまりさ種の赤ゆを二匹ずつ実らせ まりさのうしろでガタガタと震えていた。 まりさも怖いのを振り絞ってアリス種の前でぷくっと威嚇をしている。 なんともかわいいものである。 私はさっきの収穫がスムーズであったことや、これから取れる赤ゆっくりが上出来であったため、ほくほくとした思いであった。 そのため自然と顔に笑みがこぼれた。 それがゆっくりたちには悪魔の笑みに見えたことだろう。 アリスまりさ「「ビク!!」」 一層と身を寄せ合ってガタガタ震えだした。 これはもうだめかな・・・と私は少し残念な思いがした。 反抗しない、従順なゆっくりは飼いゆっくりにとってはプラスだが、食用としては適さないのである。 なんでも、恐怖を与えられているときは純度のよい、甘い餡子が出来るものだが、 炭酸の抜けたコーラのようなゆっくりから生まれる子ゆっくりは甘みが足りないのである。 その兆候がこのつがいには現れている。 私はこのゆっくりたちを近いうちに『交代』させることに決めた。 次はぱちゅりーとれいむのつがいでも試してみようかな。 店長「それはそうと、せっかくできた子ゆっくりは収穫しないとね。 赤ゆに仕込みをすればいくぶんおいしくなるだろう。」 そう言って私は逃げることも抗うこともできないゆっくりたちに手を伸ばし始めた。 ゆっくりカフェ収穫編終了です
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この森は平和だった。 人里近くゆえに天敵もすくなく、まだゆっくり被害も少ないため人間に襲われもしない。 普通のゆっくりにとっては理想的な森だった。 そして、この森に住む一組のゆっくり夫婦。 彼女らもまた、理想的なゆっくりだった。 とてもゆっくりしていて、やさしいれいむ。 とてもゆっくりしていて、ゆうきのあるまりさ。 この二匹は幼馴染であったが、気が付くと二人で一緒の巣に入り生活していた。 やさしく、頭も悪くないこの二匹は。まさに理想的なゆっくり夫婦だった。 だが、この二匹は完璧にゆっくり出来ているわけではなかった。 そう、子供がまだいないのである。けっこんしたばかりだからいないのは当然だ。 ゆっくりした二匹は当然子供をほしがった。 子供がいるとゆっくり出来るからだ。 だから二匹はすっきりした。 だが、どこぞのありすがレイプするのとは違う、とてもゆっくりした、ゆっくりできるすっきりだった。 「れいむ、いっぱいゆっくりすっきりして、ゆっくりしたあかちゃんをうむんだぜ」 す〜り、す〜り・・・ 「うん、わかったよ、まりさ・・・」 す〜り、す〜り・・・ お互い顔を赤らめながら、実にゆっくりと、相手に負担をかけないように顔をこすりあう。 2時間にもわたるゆっくりしたすっきり。 彼女達は、実にゆっくりした。理想的なゆっくりだった。 10日後 ゆっくりしたすっきりが功をなしてか、れいむはしっかりにんっしんを果たした。 普通、体内にんっしんをしたゆっくりは一週間で生まれるという。 れいむは少し遅い。いつ生まれてもおかしくない状態だ。 「れいむ!ごはんをあつめてきたんだぜ!」 今日もまりさがたくさんのごはんをもって帰ってきた。 とてもたくさんのごはん。とてもゆっくりしたりそうてきなゆっくりだからできる芸当だ。 「おかえりまりさ!とてもゆっくりしてるごはんだね!」 「れいむ、おなかのおちびちゃんはどうなんだぜ?」 まりさがれいむのおなかに耳を当てながら言う。 「とってもゆっくりしてるよ!さすがはれいむとまりさの・・・ゆ!?」 穏やかな顔で話すれいむの顔がきゅうに険しくなる。 「どうしたのぜ?まさかうまれるのぜ?」 「ゆぐぐ・・・まだだめだよおちびちゃん・・・!ゆっくりしてね・・・ゆっぐりじようねぇでええ!!・・・ふぅ・・・」 しばらく苦悶の顔で痛みと格闘していたれいむがまた穏やかな顔に戻る。 「おちびちゃんはすこしあせりすぎだよ!ゆっくりおかあさんのおなかのなかでそだってからうまれてね」 「ゆっくり、ゆっくりするんだぜ・・・」 穏やかな顔で生まれてくるであろう子供に語りかけるれいむとまりさ。 実に理想的なゆっくりである。 さらに三日後 「ゆぎいいいいいいいいいいい!?!?」 今までれいむが発したことのないような悲鳴。 「ゆゆっ!?どうしたんだぜ!?れいむ!?」 飛び起きたまりさがれいむに寄り添う。 「うまれるのぜ?うまれてしまうのぜ?」 「だめぇえええ!ゆっくりしてねぇええ!?!?」 自分が死にそうな激痛を感じながらも、子供を気遣い、ゆっくりするよう言い聞かせるれいむ。理想的なゆっくりである。 しかし、れいむの願いもむなしく、れいむのあごに産道が開き始める。 「れいむ!ゆっくっり〜だぜ!ゆっくっりぃ〜!!」 「ゆ・・・ゆっぐ・・・ゆぎいぃいいいいいい!?!?!?」 ぶびっ!!ぶりりりりっ!!ぶりゅううう〜!?!?!? まるで下痢のような音と勢いでれいむの産道から粘液が噴出す。 「ゆ・・・?」 「れいむ・・・おなかこわしてたのぜ?」 「まりさ、おちびちゃんは!?れいむのおちびちゃんは!?」 「まつんだぜ、れいむ、れいむはおげりさんを・・・ゆげぇえええ!?」 まりさが下痢だと思ったもの、それは確かにれいむの言うとおり、子供だったのだ。 とてもゆっくりした理想的なゆっくりの、とてもゆっくりした理想的な子供。 しかし、巣穴の壁にへばりついたのはみずみずしいスライムでしかなかった。 ぱっと見、下痢を壁にぶちまけたような感じ。しかし、壁にへばりついた下痢がボコボコ泡立ち、震えていること。そして二つの目玉が見えたことが、やはりれいむの子供であったことを物語っていた。 「むきゅう・・・れいむ、にんっしんしてからなんかいおひさまにあったの?」 まりさにつれてこられたぱちゅりーがれいむに質問した。 「かぞえきれないぐらいだよ・・・」 「かぞえきれないぐらいだぜ・・・」 れいむとまりさが答える・・・ 「あのね、れいむ。あなたのおちびちゃんはあなたのおなかのなかでゆっくりしすぎちゃったの」 「ゆっくり・・・しすぎた?」 理解できないことを言うぱちゅりー。 ゆっくりしすぎた? 「そう、おなかのあかちゃんはおひさまにはっかいぐらいあったときにうまれるのがいちばんいいの、ゆっくりできるの」 「それはどういういみなの!?」 「じゃあはっきりいうわ・・・あなたはゆっくりしすぎたのよ!!」 ゆがぁあああああああん!! ゆっくりしすぎると、ゆっくりできない。 それをしったまりさとれいむのとったこうどうはひとつだった。 スリスリスリスリスリスリスリスリスッキリ! スッキリィィィィ!! 「レイムスッキリシタネ!」 「キモチヨカッタヨマリサ!」 「ウムンダゼ!」 「ユックッリ!ユックリ!!」 ぶびっ!!ぶりりりりっ!!ぶりゅううう〜!?!?!? 「ナンデナンダゼ!?」 「ユックリシナイカラユックリデキルアカチャン!ウマレルンデショ!?」 「アリエナイゼ!」 「ユックリィィィ!?!?」 スリスリスリスリスリスリスリスリスッキリ! スッキリィィィィ!! ぶびっ!!ぶりりりりっ!!ぶりゅううう〜!?!?!? 「オカシイ!」 「ユックリシスギタラユックリデキナイ!」 「ユックリシナクテモユックリデキナイ!」 「モットハヤク!」 「スッキリ!」 「スッキリィイイイイイ!!」 理想的なゆっくりは、理想的過ぎた。
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「ゆっくりシェイキ」 初投稿です。ゆっくりたちの知能はかなり低めに設定されております。あしからず。 道ばたでゆっくりしていたゆっくり一家。 親はれいむとまりさ。子供は五匹で子れいむが三匹、子まりさが二匹。 とてもゆっくりしたゆっくりをおにいさんは家に招待していた。 ゆっくりプレイスに連れてってあげると言われたゆっくり一家は期待に満ちておにいさんについてきたのだ。 「ゆっくりしていってね!!ゆゆっ、ここがゆっくりプレイスなの!?」 おにいさんの家に着くとゆっくりれいむは言った。 「そうだよ、思う存分ゆっくりしてね」 「ゆっくりプレイスなら食べ物があるはずだよ! おにいさんは食べ物を持ってきてね」 「もっちぇきちぇにぇ!!」×5 「わかったよ、今あまーい飲み物を持ってくるから待っててね」 「ゆっくり待ってるよ」 準備のためにおにいさんは台所へと向かう。 おにいさんは心底楽しそうに冷蔵庫から牛乳と卵を、 戸棚からナイフとスプーン、電動泡立て器と小麦粉、ストローの束その他諸々の道具を取り出す。 おにいさんはゆっくり一家が楽しそうに飛び跳ねたり、お歌を歌ったりしてゆっくりしている部屋に戻った。 「まりさはゆっくり待ちくたびれたよ。あまあまはまだなの?」 親まりさが近づいてきた。 親れいむと他の子供たちはまだ気づいていない。 自分たちでゆっくりすることに夢中なようだ。 「ちょっと待っててね。今、作るからね」 「ゆっ!早くしてn・・・ゆぐっゆ”ぐ」 まりさがそう言うと同時におにいさんはまりさの口をガムテープで塞いだ。 おにいさんはまりさの帽子を取ると 手際よくナイフで頭頂部付近の皮だけを切り取る。 おにいさんはナイフをスプーンに持ち替え、 露出している餡子をスプーンの腹の部分でなぞる。 まりさは涙を流しながら小刻みにふるえている。 数回なでたあと、一気にスプーンを餡子に突き立て中身を掻き出していく。 用意した取り皿に掻き出した餡子を盛っていく。 激しく動き回るまりさを押さえながらおにいさんは作業を進める。 まりさの体積の三分の一ほどを取り出すとおにいさんは満足したのか、 スプーンを取り皿に置いた。 れいむと子供たちは遊びに夢中なようでまだ気づいてない。 おにいさんは今度は牛乳をまりさの頭頂部の”穴”に注ぎ始めた。 少し入れたところで注ぐのを止め、スプーンで中身をかき混ぜ始めた。 ぐしゃっ、ぐしゅ、じゅしゅ 餡子と牛乳の混ざり合う音がする。 「ゆゆっ!おじちゃん何やってるの!?」 親れいむが音に気づいたようだ。 「あまーい飲み物を作ってるんだよ。もう少しだからゆっくり待っててね。」 「ゆっ、わかったよ。ゆっくり急いでね。れいむは子供たちと遊んでるね!」 上手い具合に餡子に牛乳がしみこんだところで、おにいさんはさらに牛乳を入れ、生卵も入れた。 そして今度は電動泡立て器を穴の中に差し込む。電源を入れる。 「ウィーーーーン、じゅじゅっじゅじゃじゃ」 まりさの中で泡立て器が高速回転し、中身をなめらかに混ぜていく。 良い具合に泡立ったところで泡立て器を取り出す。 あずきミルクシェイキの完成である。 まりさはというと目から白色の涙を流しながら白目をむいていた。 ぶるぶる震えてはいるが意識があるのかないのか、 ぱっと見では判断がつかない。 顔面や底部付近の中枢部分の餡子には傷つけないように していたので命や機能に別状はない。 おにいさんは近くにいた子れいむに声をかけた。 「あまあまができたけど、特別にれいむにだけ先に味見させてあげようか?」 「ゆゆっ、ときゅべちゅ!?れいみゅかわいいからときゅべちゅっ!?」 「そうだよ。他の子たちに気づかれる前に早くこっちへおいで。」 「ゆっくりはやくしょっちにいきゅよ!」 近づいてきた子れいむにスプーンですくったまりさの中身を与える。 「ちゅーちゅー、ちあわちぇーっ!!」 「ゆゆっ!こりぇちゅごくおいちいねっ!!」 「だろっ?もっと欲しいかい?」 「もっちょほちいっー!」 「そうかそうか」おにいさんはそう言いながら子れいむを持ち上げる。 「おしょらをちょんでるみちゃーい!」 子れいむは楽しそうだ。 子れいむをつかんだおにいさんの手が向かうのは、親まりさの頭頂部の”穴”。 「ゆっ、あれがあまあまだにぇ!!」 子れいむは帽子を外した親まりさを親まりさとして認識できていないようだ。 おにいさんは子れいむの顔が上を向くようにして 親まりさの”穴”にはめ込む。 そして素早く水で溶かした小麦粉を使って子れいむの体を まりさ本体と癒着させてしまった。 「せなかがちべたいよ。」 「はやくゆっくりれいむにあまあまをちょうだいにぇ!」 いまいち事態が飲み込めてないようだ。 おにいさんは先ほど親まりさから掻き出した餡子を子れいむに与えておく。 「あまあまー!ちあわちぇー!!」 「ゆ♪ゆ♪ゆっくりーー!」 子れいむは満足そうだ。 不気味な表情で牛乳でゆるくなった体をぶるぶると小刻みに震えさせている金髪の饅頭。 さらに気持ち悪いことに頭頂部から体半分、子ゆっくりが飛び出している。 「さて、仕上げだ」 そう言うとおにいさんはまりさの頭頂部に癒着している子れいむの目にストローを突き刺す。 「ゆぎゃーーーーー!!!れいぶのおべべがぁあーーーっ!」 あまあまを貰っての満足状態から一点、地獄のような痛みに突き落とされる。 悲鳴が意外に大きかったので他のゆっくりに気づかれないかと思って 見回したが、気づかれていない。 あっちはあっちで騒がしいようで多少の悲鳴が届く余地はなかったようだ。 おにいさんはストローに口を付けると息を吹き込む。 「ゆぎゅぎゅぐうぇ--!ぐぎぇっ」 子れいむは体内の餡子が押し出される痛みに悲鳴をあげる。 ストローは子れいむの体を完全には貫通できていなかったようで、 おにいさんの吹き込みは体内の餡子をかき混ぜる結果をもたらした。 「おっと、ちょっと失敗したな」 おにいさんはそう言い終えると、再びストローを子れいむに押し込む。 ストローが子れいむの背面を貫通した手応えを得ると、 再びストローに息を吹き込む。 ストロー内の固形物が親まりさのミルクシェイキに送られる。 これでこのストローから親まりさ特製あずきミルクシェイキを飲むことが できるようになった。 「ゆぐっ、ゆぐぐっ、おべべがっ・・・」 子れいむはストローが貫通したことで多少痛みが和らぎ 落ち着きを取り戻しているようだ。 反対の目にも同じようにストローを刺す。 「ゆぎゅぎゅっっ、おきゃーしゃーんっ!たちゅけちぇーー」 先ほどの悲鳴でも姉妹のゆっくりや親れいむは声に気づかなかったのだから、今更助けを呼んでも気づくはずはない。 しかし、うるさかったのかおにいさんは子れいむの口内にストローを つっこみかき混ぜる。 ぐちゃぐちゃになった”お口”だったもの、 これでもう子れいむから声は発せられることはない。 「最後に帽子をかぶせてできあがりっ♪」 おにいさんはストロー用の穴を帽子に空け、帽子を親まりさにかぶせる。 子れいむは完全に帽子に覆われ隠される形だ。 ぱっと見はごく普通の成体まりさ。 しかし、帽子部分を見るとそこから二本のストローが左右に飛び出している。 違和感はあるが、あれほどの加工が行われたとは思えない。 「じゃあ、そろそろ家族にもあまあまを味わってもらおうねぇー」 おにいさんは親まりさに話しかける。 「さあー、みんなあまーい飲み物ができたよ!」 パンパンと手を叩き、おにいさんは部屋の反対側で 遊んでいたゆっくりたちに声を掛ける。 ゆっくりたちは遊びを止めておにいさんに向かってやってくる。 「おにゃかちゅいたー!」 「おにいさんはゆっくりしすぎだよ。」 「れいむのかわいいこどもたちがおなかを空かせてるよ!ぷんぷんっ!!」 親れいむは周囲を見回すがそれらしいものが見あたらないらしい。 「ゆゆっ!あまあまはどこにあるの早くだしてね!!」 「あそこだよ。ストローが見えるだろ?」 おにいさんは先ほど処置した親まりさを指さす。 「ゆ、ほんとうだ。きっとまりさがれいむたちのために あまあまをとってくれたんだね!!」 親れいむは親まりさに近づいていく。そこで 「まりさ、ありがとうね!ゆっくりあまあまをチューチューするよ!」 そう宣言してストローからミルクシェイキを飲み始めた。 「おかーしゃんだけじゅるい!れいみゅもー」 「まりちゃもあまあまほちー!!」 子ゆっくりたちもストローに群がる。 さっきから親まりさの返事がないどころか、 怪しく痙攣していることには一切気づかないようだ。 親まりさの体は家族に中身を吸われて徐々にしぼんで行く。 「さーて、そろそろまりささんからも一言感想をいただこうかな。」 おにいさんは親まりさの口に貼ってあったガムテープをはがす。 「ゅー、ゅー・・・」 今この瞬間にも家族に中身を吸い出されている親まりさは 到底、感想を言える状態にはない。 おにいさんは紙パックタイプのオレンジジュースを取り出すと ストローを突き刺す。 さらにストローの反対側をまりさのあご付近に突き刺し、 紙パックを握りつぶす。 高速かつ効率的なゆっくり蘇生法である。 中枢餡付近に急速にオレンジジュースを流し込むことにより 瀕死のゆっくりを即座に治療する。 「ゆっ!ゆげgーーげっっg-」 餡子の活動が再び活性化したために痛みも鋭いものに変わったのか、 叫び出すまりさ。 これにはあまあまに夢中だったゆっくり一家も気づく。 「まりさ!どうしたのっっ!!」 親れいむは親まりさを心配したのか飲むのを止め、まりさの正面にまわる。 「ゆっ、ゆぐっ、ばりざのながみ”のまないで・・・っ・」 「ゆー?まりさ、だいじょうぶだよ。どこからも餡子もれてないよ。」 かみ合わない会話をする二匹。 適当なところでおにいさんが種を明かす。 「はっはっは、れいむは馬鹿だなぁ。」 そう言って、まりさの帽子を取って見せた。 「よぉーく、見てごらん?」 「ゆっ?」 「へんだよ?あまあまさんはどこにいったの?」 確かにれいむの言うとおりストローとまりさの頭の間には特に何もない。 変なコブはあるが。 「ストローの先をよく見てごらんよ。あまあまはどこにも行ってないよ。」 れいむの視線がストローを辿る。 「ゆっーー!どぼぢて、ストローさんがまりさにさざっでるのーーっ!!」 「おーおー、わかってきたじゃないか!」 おにいさんはうれしそうに言う。 「もっとしっかり見せてあげよう」 おにいさんはれいむを拾い上げるとまりさの頭頂部が 見えるようにれいむを持ち上げた。 「れいむのあがぢゃんが、あがぢゃんがぁああー」 「おー、そうそうあかちゃんもいるよ♪」 両目をストローに貫かれ、口の中身を攪拌された子れいむは ピクピクと小刻みに震えているだけだ。 「おに”いざんおでがいでずがら あがぢゃんどばりじゃう゛ぉだづげでぐだじゃびいいいー」 親れいむはぐしゃぐしゃの顔で叫ぶ。 「何言ってるかよく分からんが、まあ、落ち付けって」 「見てなよ」 おにいさんはまりさにつながるストローに口を付け、吸い始める。 「ゆ、ゆ、ゆぐ」 変な声で呻くまりさ。 ストローが動いたことで痛むのか激しく身震いし、 眼孔、口腔から液状の餡子をにじませる子れいむ。 「やあ、さすが君のまりさはおいしいなっ」 おにいさんは満面の笑みで親れいむに声をかける。 「やべで、まりざのこといじべないでええっー」 「別にいじめてないさ。おいしいあまあまを飲んでいるだけだよ。」 「れいむもさっきおいしそうにしてたじゃないか。」 「だっでばりじゃがあばあばぼどでぎだどおぼでぞじだらばじざが あばあばであばあばがばでだででびぶがばじだどあばばじ」 「本格的に意味分からんw」 おにいさんは訳分からず泣き叫ぶ親ゆっくりを放り捨て、 適当な子ゆっくりを捕まえた。 「おにいしゃん、まりしゃにひどいことしにゃいでにぇ」 「大丈夫だよ。いっぱいゆっくりできるようにしてあげるだけだからね。 怖がらなくてもいいよ。」 そう言うが否や、子まりさの頬をつまみ、 ストローに子まりさの口を当てると 瞬間接着剤を口とストローとの接着面に塗りたくった。 適当に押さえておきながらドライヤーを当て乾かし、手を離す。 「なんと!まりさの頭からあかちゃんゆっくりがっ!」 確かにまりさの頭からストローが生え、子まりさがそこにくっついている様子は ゆっくりの植物型にんっしんに見えなくもない。 「反対側もやるか」 「次はれいむが良いかな」 そういうと親れいむの側で震えていた子れいむを捕まえ 反対側のストローに同じように子れいむを接着してしまう。 ちょうど作業が終わった頃に落ち着きを取り戻した親れいむが声をあげる。 「れいぶのかわいいあがぢゃんにひどいことしないでね。 はやくもどにもどしてあげてね!」 「まりさもだずげてあげてねっ!!」 涙目になりながらも毅然としておにいさんに要求を伝える。 「まあまあ、安心しろって。 れいむのあかちゃんたちもそう悪くはない状況だぞ。」 「なんせストローを吸うだけですぐあまあまにありつけるんだ。」 「とんでもなくゆっくりした生活が送れると思うんだがなあ」 「そういうもんだいじゃないでじょおおーー」 「あがぢゃんだぢおうだどかうだえなぐなっぢゃうじゃないいぃ」 「まりざもあれじゃゆっぐじでぎないでじょおおぉー! ぞんだごどぼわがらないのぉお」 「まあ、細かいことは気にすんなって、な、ゆっくりゆっくり」 「とりあえず今日のところは終了だから。おうちへお帰り!」 親まりさには帽子を被せ直してから、 泣き叫ぶ親れいむと一緒に抱え上げて、玄関から放り出した。 「みゃみゃー、おいでがにゃいでー」 一匹だけ無事に残った子れいむは勝手に親について出ていった。 「じゃあな、みんな!達者で暮らせよ!!」 おにいさんはさわやかな笑顔で玄関を閉じた。